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化学戦争剤とは何か? 1969年からの国際連合報告は、化学戦争剤をこのように定義している。「……気体、液体、固体を問わず、人間、動物、植物に対する直接的な毒性効果のために使用されうる化学物質……」 化学兵器条約は、化学兵器は、有毒化学物質だけでなく、弾薬や装置も含むものとして定義づけている。有毒化学物質はこのように述べられている。「……その生命過程への効果を通して死、遂行能力の一時的損失、人間と動物への恒久的損傷を起こすあらゆる化学物質」。植物はこの文脈で言及されていない。 毒素、すなわち生命体によって作られた毒とそれを合成した等価物は、もし軍事目的に使われるなら、化学戦争剤として分類される。しかしながら、それは1972年の生物毒素兵器条約によってカバーされているので、特別な位置にある。この条約は、開発、物質が穏やかな目的のために必要としなかった生産とそんなものを備蓄することを禁止する。 今日、何千という有毒な物質が知られているが、化学戦に適しているのはごくわずかだと思われる。20世紀中に約70種の化学薬品がCW剤として使用または備蓄された。CW剤として使うためには物質に対して条件が要求されるが、そのために今日、そのごく一部だけが関心を持たれるものとして考慮されている。
「戦争ガス」はめったに気体ではない CW剤はしばしば戦争ガスと呼ばれ、CW剤が使われる戦争は毒ガス戦と呼ばれるのが通常である。これらの正しくない用語は、歴史の結果である。第一次世界大戦中、室温と標準的な気圧で気体となる塩素とホスゲンから作られていた。今日使われているCW剤は、気体は例外的である。通常は液体か固体である。しかし、ある量の物質は、常に揮発性の状態(その量はどれほど急速に物質が消滅するかによる)であり、その気体の集中は有害になるかもしれない。固体と液体の物質はどちらも、粉々にされた形、いわゆるエアゾールで空中に散らすことができる。エアゾールはガスと同じように呼吸器官を通して体内に入る。 若干のCW剤は皮膚からも浸透できる。これは主に液体に関係するが、気体とエアゾールの場合もある。固体の物質は、適当な溶剤と混ぜられないなら、ゆっくりと皮膚に浸透する。 植物に対する効果 若干の植物の花と葉は、CW剤の小滴の攻撃にさらされると色が変わるかもしれない。明るいか粒状のしみが茶色の色あせとして、特に葉の上に同様に存在するかもしれない。木全体かその一部も、強い曝露を受けると茶色の色あせを起こすかもしれない。変色は数分以内に起こることもあるが、数日後に起こることもあるかもしれない。 分類 CW剤はさまざまな方法で分類できる。例えば、主に空気を汚す揮発性の物質と、不揮発性で主に表面を覆う持続的な物質。 主に人に対して使用されるCW剤は、致死的なものと活動不能化剤の領域に分けられるかもしれない。ある物質は、致死量の1/100以下で虚脱状態を起こすなら活動不能化として分類される。致死的なものと活動不能化物質の境界は絶対的ではないが、統計上の平均によって決められる。比較上、致死量と活動不能化量の神経ガスにおける比率はおよそ1/10とされている。化学戦剤は一般的に生体に対する効果によっても分類される。 持続的なCW剤を高高度から散らされるときによく地上を覆うことができるように、散らされた小滴は、標的地域内に落ちて風によって別の場所に送られてしまわないよう、充分な大きさがなければならない。これは、製品に高粘性か濃度を持たせるように、CW剤内のポリマー(たとえば、ポリエチレンやゴム製品)を溶かすことによって達成できる。その結果、持続時間と粘性能力が増して、汚染除去が難しくなる。 CW剤はある目的のために「オーダーメード」されるようにみえるかもしれないが、それは正しくない。そうではなく、持続時間、分散、効果についてはいくぶん不確定な部分がある。 以下の軍事的化学物質は化学兵器であると見なされない ナパームやリンのような焼夷剤は、熱エネルギーを通して主に効果を発揮するために、CW剤とは考えられない。ある特定のタイプの煙幕は、非常に高濃度では有毒かもしれないが、煙幕弾は有毒効果が使用目的ではないため、化学兵器として分類されない。毒素を作り出す植物、微生物、藻などは、たとえ作り出された毒素がその分類に属するとしても、化学兵器として分類されない。病原性微生物、特にウィルスとバクテリアは、細菌兵器として分類される。 |
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