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化学兵器概観

精神異常作用化学兵器
――心に作用する化学兵器の概観


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精神異常作用化学兵器

情報源:化学兵器に関するFOA要旨説明本

この剤のグループは通常、低容量(10mg未満)で、中枢神経系から生じる精神病障害その他の精神異常に似た状態(感情喪失、麻痺、硬直など)を引き起こす物質である。効果は一時的であって、判断を下す能力を奪い、虚脱状態を起こす。そのような目的を達成する物質はいくつも使えるかもしれないが、ここではそのごく少数の例だけを示す。

1950年代に、試作品はグリコール酸エステルのような物質から作られていた。特定の関心が3-quinuclidinylbenzilate=BZに払われた。この物質のグループの効果は、アトロピンによって起こされるものに類似している。BZは0.5〜5mgの量で中毒を起こす。膨らんだ瞳孔、短距離の視野の悪化、口の乾燥、動悸のような末梢神経症状が約30分後に起こる。

BZが毒となる重大な効果は、他のアトロピン型物質と同じく、体温上昇である。意識レベルの悪化、幻覚、昏睡がその後に起こる。活動不能の後遺症が中毒の1〜3週後にも残るかもしれない。グリコール酢酸の効果は予言が難しいとわかったので、このタイプの物質についての継続的な研究は次第に関心が失われていった。

フェンシクリジンは鎮痛薬と麻酔薬の特性を持っている物質である。肉体感覚の動揺、方向感覚喪失、白昼夢のような症状が存在する。これらの症状は5〜20mg量でしばらくの時間の後にも存在する。非常に高い量では(100mg以上)、例えば呼吸器圧迫と死という危険がある。フェンシクリジンは、この物質でタバコを浸し、次にたばこを吸うときに吸い込む麻薬中毒者が使うこともある。フェンシクリジンは作り出すことが容易である。

LSDは精神異常効果を持っているすべての周知の物質のなかで最も活発なものである。しかし、その化学安定性は非常に低く、CW剤としてはおそらくほとんど役に立たない。ただし、LSDに似た効果を持つ他の化学薬品物質がある。これらの物質は化学的にアンフェタミンに類似していて、安定性もある。理論的に、このタイプの物質は、特別な状況で、エアゾールとして散らされるCW剤として用いることができる。


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