戦略戦術詳解研究会著 第七十四章 諸表 |
戦争ノ開始、宣戦、布告、最後ノ通牒(第一巻戦争開始ノ補説)
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戦争ノ終結、平和締結ナクシテノ終結(第一巻補説)単ニ武力ニ依テノミ排除シ得ル所ノ紛争ニ起因スル戦争ノ情態ニ顧ル時ハ(其原因ノ性質如何ニ拘ハラス)其終結ノ為メニハ亦精神上及有形上ノ原因ヨリ生スル交戦者ノ意思ノ形式的行為ヲ為スコトハ適当ナル方法ナリトス此ノ意思ノ形式的行為ヲ称シテ平和締結ト言ヒ常ニ採用セラルヽ方法ナリ。以上ノ外平和締結ナクシテ戦争ヲ終結スル二ツノ場合アリ。
二 制勝即チ狭義ノ意味ニ於ケル征服 照射ノ戦勝ノ結果ハ敗者ノ国際的主格ノ地位ヲ排除シ以テ国際社会ニ於ケル其意思ノ行為ヲ不可能ナラシム従テ此ノ場合ニ於テハ一般ニ平和条約ナルモノ成立スルヲ得サルナリ。 |
平和締結ニ依ル戦争ノ終結(第一巻補説)戦争終結ノ為メノ普通ノ方法ハ平和条約ノ締結ナリ即チ両交戦国ノ合意的意思ノ宣言ニ依ツテ紛争ニ最後ノ解決ヲ与ヘ以テ此ノ紛争ノ為メニ惹起シタル戦争ニ終局ヲ告ケシムルナリ。平和締結ノ主唱者タルモノハ交戦国ノ一方或ハ他方トス然レトモ亦中立国ヨリコノ主唱ヲナスコトヲ得、平和締結ノ動機タルモノハ種々ナリトス、紛争事件カ始メヨリ明瞭ナル時ハ戦争ノ目的モ亦予メ明瞭ナリトス故ニ目的ヲ達成シ若クハ敵対行為ヲ継続スルモ目的ノ達成不可能ナルヲ予想セラルヽ時ハ通常戦争ノ終局ノ動機タルモノトス是ニ反シテ戦争ノ原因カ一定ノ紛争事件或ハ一定ノ要求ニ付帯セサル政治上ノ利益ノ衝突ニ在ル時ハ其戦争目的ヲ達成セラレタルモノト認定シ得ル時期(状態)ヲ定ムルコト甚タ困難ナリトス、第三国カ平和ノ利益ニ関係ナキ時ハ敵対行為ノ終結ノ為メニハ一ニ戦勝国ノ政治上及軍事上ノ関係ニ基ク意思ニ依リ決定セラルヽモノトス。 |
石原光将 ISHIHARA Mitsumasa |