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Information Warefare Resources

情報戦とは何か

第4章Sample

諜報基盤戦
Intelligence-based Warfare
IBW

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 諜報基盤戦が起こるのは、諜報が作戦に直接組み込まれるとき(特に目標化と戦闘損害評価)であり、全体の指揮統制のためのデータとして使われるのはむしろ少ない。今までに論じられた他の形態の戦いと対比すると、諜報基盤戦は(人物買収ではなく)目標に対する剣の直接使用という結果に終わる。センサーが鋭く信頼できるようになって型と数において増殖し、即時応答と準即時応答における火力制御系を供給できるようになるにつれて、戦闘空間を感知し、その構造を評価して、その結果を射手に送るシステムを開発・運営・利用する任務は、明日の軍にとってますます重要になっていくものと思われる。

 認識方法と目的は違うものの、無生物システムから得られる情報を収集・配布するシステムは、指揮統制系統において効果的な方法によって攻撃・混乱させることが可能である。状況認識(諜報属性)と戦闘空間可視性(目標化属性)の目的は異なっているが、それぞれを実現するための方法は近いところにある。

 

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攻撃的諜報基盤戦

 情報科学、その中でも特に分散されたシステムに集中したものの価格の比率が急上昇しているのは、情報を収集・分配するための新しい構造を示唆している。

 オペレーター・センサー・兵器をすべて統括する土台は、各要素はバラバラでも電子的に結ばれた分散化システムに取って代わられつつある。産業時代戦略の現場決定回路(たとえば、戦車砲手が目標を発見して正確に砲撃するために、赤外線[IR]照準を使う)は、全地球的回路(たとえば、目標はセンサー読み取りの連携によって発見され、オペレーターは計算された場所に遠隔操縦ミサイルを発射する)に敗れるだろう。ネットワーク化によって、すべての表示と一連の結論(他のものよりは幾分正確)のログを取ることが可能になるので、自発的な人間の報告に基づいたシステムよりも効果的に学ばれる教訓を生み出すことができる(注16)

16. Eliot Cohen and John Gooch, Military Misfortune (New York: Free Press, 1990)参照。色々な観点のなかで、合衆国海軍が第2次世界大戦中に集中化された学習課程を設立するのが遅かったために、大西洋戦線での潜水艦・対潜水艦作戦における技量を上げることが遅くなったことを論じている。


 諜報基盤戦の発展は、どの諜報が有用であるかということの変化として理解できる。伝統的に、相手の処置・位置・一般的意図を正確に測定するために、司令官は諜報を使う。諜報の目的は、奇襲――情報戦の有名な構成要素――を防ぐこと、司令官が戦闘計画を立てられるようにすることである。よい諜報によって、作戦を具体化することができる。偉大な諜報によって統一がとれるが、これはシンクロの高度なレベルである(注17)。諜報の目的は、戦闘が結びつけられたとき、一方の側は任務を理解していて実行準備をしているのにもう一方が混乱と衝撃からよろめいているとき――このように、状況認識することである。

17. Jeff Cooper, "Toward a Theory of Coherent Operations," SRS Technologies, 30 June 1994.などを参照。


 今日の情報システムは昨日のものよりもずっと多くのことを明らかにし、状況認識と一致する戦闘空間についての知識の度合いを深めることになった。相手陣営の戦車隊列が来るのを見ることができる陣営は、遭遇に備えてよりよい位置を取ることができる。それぞれのタンクを見ることができ、弾頭の有効圏内の場所をピン・ポイント攻撃できる陣営は、相手陣営を直接攻撃することを避けることができるが、既知で常時更新されている離れたいくつかの地点に向けて砲撃できる。諜報が、このように戦場準備から戦場支配に変わったことは、この種の情報のための新しい形の報告連鎖に反映されている。国家指揮当局への直接報告連鎖は継続しているものの、継続的低梯形編成への新しい周波数(と、つまるところ武器そのもの)が刻まれつつある。諜報機構による状況検知における明白な浪費(このために反対された)のために、機能的に大きな利益が得られるようになりつつある。

 明日の戦場環境は、完全に集合的に解明するさまざまなレベルの適用範囲と解像度において、センサーの混合された構造として特徴づけられることだろう。複雑な構造になるかもしれないものを概説するため、センサーを4つのグループに分けてみよう。(i)長距離センサー(ほとんど宇宙だが、地震計・音響計も)。(ii)準長距離センサー(たとえば、多スペクトル・受動マイクロ波・合成口径レーダー[SAR]・電磁諜報[elint=エリント]能力を備えた無人航空機[UAV]や、沖合のブイ、地上ベースレーダーなど)。(iii)場所間センサー(たとえば、音響、重力測定、生化学、地上光学式装置など)。(iv)武器センサー(たとえば、IR、反射レーダー、光検出照準[lidar])。これが複雑なのは、密着監視を避けるような人々に対する任務の等級と複雑さを示している。欺瞞任務は一つか二つのセンサーに対して働く――ある人々のための煙幕任務、他のためのレーダー反射塗装、さらにほかのための沈黙――が、だますような重複と多変数正規分布適用範囲はかなりむずかしい。

 どのような個々のセンサー技術がここ10年かそこらのあいだに提出される必要があるかを評価する機能は、幾分、単純である。全世界的に使える技術は、さまざまなタイプがすべて実用化されるだろう。表示を軍事的に有用なデータに変換する機能はこれよりむずかしく、個々の出力の分析、異種表示の効果的な合成、そして最終的にはそれらを無境界で「報知(cue)・選別(filtering)・正確な位置指定(pinpointing)」のシステムに統合する必要がある。フォート・フアチュカにおける陸軍の公開設備(注18)が正しく示しているとすれば、合衆国は次の段階――自動統合――の準備としてセンサー表示の手動統合というよい仕事を成し遂げたのである。自動化は、ソーダストローを通して地形の労働集約型検索を必要ないものとし、2年ごとに早さが2倍になる半導体の能力を利用している。自動統合は、ある程度、人工知能(AI)の進歩(常に予測しづらい)にも依存している。

18. Charles A. Robert, "Digital Intelligence Extends Army Force Projection Power," in Signal, 48, 12 (August 1994), 33-35.を参照。

 

 

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防御的諜報基盤戦

 同様に予測(あるいは、勝っているときに認めること)がむずかしいのは、不可視性を保つために、あるいは少なくとも戦場における画像と現実の間の距離を広げるために開発された防御である。諜報基盤戦システムは、いくつかの方法で攻撃されうる。一方では、合衆国センサー航空機(AWACSやJSTARSなど)に対抗するよう大いに努力することがうるさく主張されている。逆に、つぶすには安すぎるセンサーを使うことが賢いかもしれない(たとえば、1000ドルのセンサーに対して1万ドルのミサイルを撃つのはもったいない)。センサーは、使っているシステムを不能にすることによって攻撃できるし(たとえばハッカー戦)、そのシステムは無能化あるいは劣化させることができる(たとえば電子戦)(注19)

19. すべての軍人に戦場司令官の視野を与えることは、大きな弱みを作り出す。軍人とその装備を捉えれば、敵は同じ視野を得ることになる。これは、一方の側が諜報基盤戦において事前にどれほど優越していようと、一撃で無効化してしまう。それはまた、相手側のこのような視点や能力が――あるいはよくても、見えない部分が――「どのように」獲得されたかを明らかにしてしまう。これは大きな問題となる。伝達が物理的に可能で、しかも実に容易であるようなときでも、彼らの生き残りに影響するような敵についての情報は、それでも彼らに伝えてはならないということを、危険な状況にある部隊に対してどうやって説明したらいいのか? そのような情報を統制する努力は、外部からよりも内部から挫折してしまいがちである。


 最も興味深い防御は、10年から20年のうちに合衆国に敵対しそうな相手に関連して、伝統的カバー(隠蔽)とステルス導入による詐術の変形を使うことである(注20)。センサー表示が技術的に正確なとき(つまり、表示が現実を反映しているとき)、反撃諜報基盤戦は、センサー表示とセンサーシステムが結論づけるものとの関連をゆがめる必要がある。

20. ほとんどの現代のプラットホームは、発見されにくくなるよう発展しているが、コスト的に考えれば、特殊な使用(たとえば、特別作戦軍に対する深度攻撃)や伝統的形態(たとえば、潜水艦)に対するステルスは追放されてしまいそうだ。


 高密度地域(都市部、村落集合、森、山、ジャングル、濁り水)では、対戦略はごちゃごちゃした混乱を利用したり、増殖させたりできるだろう(注21)。毎日の民間商業生活の財産が豊富であるような地域では、軍事資産は、民間の資産と混同されうるように選ぶ必要がある(民間資産は、数が多く、戦争努力にあまり直接関係しない傾向があり、そのためそれほど価値ある目標ではない――にもかかわらず、交戦規則とは逆である)。

21. 低密度領域――平原、砂漠、澄んだ水域――では、人造の目標、特に軍事的なものは、そこにあるはずがないので目立つだろう。そのため、目標となることを避けるためには、周囲に人造の乱雑な物体を置くよりも、物体を背景に似せるべきである。


 広義のデコイ(おとり)についておそらく一般的なのは、木を隠すにははっきりしたレンガの壁で囲うよりも森のほうが実用的だという理論においてであろう。このような手段が成功するには、欺くために作られた諜報基盤戦システムの構造にかかっている。セクターの複合と重複に基づいたシステムは、単一センサーよりも回避しづらい。

 予測可能な未来においては、戦場センサーはすべての情報を充分詳細に同時に見ることができない(注22)。したがって、センサーシステムは、「報知・選別・正確な位置指定」の組み合わせを使う必要がある(たとえば、JSTARSシステムが移動する車両の一群を識別し、UAVがそのそれぞれを認識できるように分別するように)。どのセンサーがどの機能に割り当てられるだろうか? 周辺センサー(たとえば音響的なものや生化学的なもの)が報知に使われ、電子光学的センサーが正確な位置指定に使われるのだろうか? 赤外線レーダー表示が報知に使われ、ネット機器による神経系が選別に使われ、周辺センサーが弁別機に使われるのだろうか? どのセンサー表示が役に立たないとして処分されるのか? 比較的弱い領域に対して、システムはどのように補うのか?

22. 一例として、典型的な作戦戦域(400km四方)の適度に詳細な(1メートル解像度)マルチスペクトル(8ビット×8帯域)画像は、圧縮しないで1000兆ビットの情報になってしまう。圧縮して、選択的諜報更新したとしても、空中を経由して背後の戦線の場所へ同じ情報を送るために必要な帯域は、電磁スペクトルの中に収まらない。

 ある対象は、アヒルのように見え、アヒルのように歩くが、ガチョウのように鳴いているかもしれない。どちらなのだ? 一方では、慎重に家禽調査を申し出て、どれがアヒルとして分類され、どれがガチョウとして分類されたかを調べれば、観察システムがどのように結論を導くかという糸口を防御者は引き出すことができる。逆にいえば、観察された観察システムは、意図的にガチョウのふりをさせたアヒルを見過ごしてしまい、そんな区別はできないという思いこみを強めてしまうかもしれない。これは諜報のゲームにおける古いテクニックである。諜報基盤戦は、戦場にしつこく諜報の特性・傾向・習慣(注23)を持ち込むのである。

23. ウィンストン・チャーチルは、英国の暗号解読機エニグマ・システムによってドイツがコベントリを爆撃しようとしていると知っていたにもかかわらず、英国がドイツの暗号を解読しているということを隠すために、対策をとらないように決定した。


 情報技術は、対象発見技術に貴重な貢献をなすものとされるかもしれない。それはまた、主要な目標検出機器――近接した兵士――が、この目的のためには不十分すぎ、高価すぎ、また無防備すぎるときに使われる次善のシステムであるとみなされるかもしれない。オープンな環境(明日の自由交戦地域)は別として、ハイテク発見装置がいつも登場する必要があるとしても、ローテク隠蔽装置に対する勝利ははっきりしないままであろう。

 

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