情報操作/認識管理
偽情報は、情報を操作し、人民又は集団に誤った情報を伝えるロシアの技術である。ある偽情報行動は明白なものであり、あるものは、認識の遅延、流言、反復、又は議論を通して作用する。特定の個人又は特定の社会集団は、偽情報の目標と成り得る。偽情報活動の目的は、人の意識及び精神に影響を与えることである。不安定な一般・政治及び社会・経済状況にある今日のロシアにおいては、全住民が敵の活動の影響目標と成り得る34。モスクワ当局は、このことを認め、彼らの見解において最も危険な状況に対する統制を獲得しようと試みている。情報管理は、明確に彼らの安定性の維持に重要である。
34. Maj Gen Yevgeniy Korotchenko and
Col Nikolay Plotnikov, "Informatsiya-Tozhe oruzhiye:
o chem nel'zya zabyvat' v rabote s lichnym sostavom"
(情報は武器でもある:職員とともに働くときに忘れてはならないこと), Krasnaya Zvezda, 17
February 1994, 2.
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歴史的にソ連は、情報管理の理論を発展させることに非常に熟達していた。彼らの政治宣伝機構は、この努力の頂点にあった。情報を管理し、行動の主導者が欲することを人民(又は敵対者)にさせるための、彼らの最も関心を有した冷戦時代の方法の1つは、反映統制の理論により説明された。反映統制は、「他者の決定への影響に関する統制理論の一部門」である。「軍事的にそれは、敵指揮官の決心過程に対する支配を間接的に維持できる能力を軍の指揮官に提供する手段と見ることができる」。35反映統制は、敵に操作されていることを理解させず、方向付けられた方法で反応することを敵に強要するパターンを創出又は不完全な情報を提供することを含む。その狙いは、情報操作を通して敵対者により方向付けられた決心を行うことを敵指揮官に強制することにある。
35. Clifford Reid, "Reflexive
Control in Soviet Military Planning,"「ソビエト軍事計画における反動的統制」(Soviet
Strategic Deception(ソビエト戦略詐術), ed. Brian Dailey and
Patrick Parker (Lexington, Mass.: Lexington Books, 1987),
294.
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ソ連国防省第1コンピュータ・センター(軍部隊01168としても知られる)に配属されたソビエトの研究家で、敵の行動に影響を与えるプロジェクトに従事したソビエト最良の知性の1人であるウラジーミル・レフェブヴレは、1950年代後半と1960年代前半に反映統制に従事した。彼の見解は、以下の通りである。
「……決心に当たって、敵対者は、紛争地域、彼我の部隊、彼我の戦闘能力等に関する情報を使用する。我々は、敵の情報回線に影響を与え、我々にとって好ましい方法で情報の流れを変えるメッセージを送ることができる。敵対者は、楽観的な最も現代的な方法を使用し、最善の決定を見いだす。しかしながら、それは、真の最善策ではなく、我々によって方向付けられた決定であろう。我々自身が効果的な決定を行うために、我々は、それが信じている情報に基づいた敵対者の決定が真実であることを演繹する方法を知るべきである。敵対者をモデルにした部隊は、異なる条件下ににおける敵の決心をシミュレートし、最も効果的な情報作用を選択する目的に適う36」
現代のロシア軍の刊行物の評論は、この理論が今なお有効であることを指し示している。例えば、海事論集(Morskoy Sbornik)1995年7月号において、M.イオノフ少将(退役)は、「敵の支配」に関する論文を著した。それが必要とするのは、
「大量の要素の考慮で敵を圧迫する圧力をもたらす特殊な方法を選択する技術、そのような圧力の異なる組合せを利用するために場所及び時間を決定する能力、現象を評価し、それらの発展を予測する能力、並びに高度な知性、卓越した専門的知識及び堅固な意志、さらに敵に対する適切な物理的及び心理的効果のための反復性のない技術及び組合せの使用である。敵を支配し、同時にその対支配努力を停止させるために、敵状、その行動の性質、及びその能力に関する情報が必要とされる37」
37. M. Ionov, 「敵の統制」Morskoy Sbornik,
no. 7 (July 1995):29-31, (FBIS-UMA-95-172-S, 1995年9月6日,
24-27で報告)
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イオノフは、『敵の支配』のためのいくつかの原則を提案した。第1に、彼は、望ましい対応の反映の本質を指摘した。すなわち、指揮官は、彼が課すことを望む条件に対する仮想敵の対応を想定しなければならない。2つ目の様相は、敵が活動を暴露し、敵自身の対統制策を実施するかもしれない以上、対応の不確実性の本質である。注意すべき3つ目の原則は、技術戦闘機材、特に偵察(これはまた、敵により好ましく偽情報を与えることを狙いとした行動を暴露させる)の発展水準の重要性を増大させつつある。最後の原則は、社会的要素並びに知的、心理的、倫理的及びイデオロギー要素を考慮に入れた、敵に対する無慈悲な形態の圧力の使用である。実例としては、紛争地域、無制限潜水艦戦の宣言(中立国のものも含むいかなる船舶も撃沈することを含む)等の民間人又は戦争捕虜に対する意図的な残虐行為である38。
ロシアの文民による情報戦に関する最近の論文は、ロシア人が冷戦時の米国の戦略防衛構想(SDI)をソ連を財政的に破綻させることを目的とした反映統制体系とみなしたことを指摘した。さらに著者は、米国が情報戦に関するその強調を通してロシアに同じことを行っているのかもしれないと付け加えた39。
39. Georgiy Smolyan, Vitaliy Tsygichko,
and Dmitriy Chereshkin, "A Weapon That May Be More
Dangerous Than a Nuclear Weapon: The Realities of Information
Warfare,"「核兵器より危険かも知れない兵器:情報戦の現実」Nezavisimoye
Voyennoye Obozreniye (Supplement to Nezavisimaya
Gazeta), no. 3 (18 November 1995): 1-2,(FBIS-UMA-95-234-S:
1995年12月6日, 31-35に英訳)
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