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情報戦に関するロシアの見解
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TIMOTHY L. THOMAS

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軍事的観点から、ロシア及びその軍に対する情報戦手段の使用は、経済又は国家指揮・統制システム、若しくは軍の戦闘潜在力に対するかを問わず、敵による戦略情報戦手段の使用の起こり得る破滅的な結果を考慮すれば、損害の有無に関わらず紛争の非軍事的段階ではないと断定できないであろう。ロシアは、先ず情報戦の手段及び戦力に対して、そして侵略国家自身に対する核兵器使用の権利を留保する。

――V. I. Tsymbal

ソ連においては、コンピュータ技術の広範囲に渡る統合は、2つの要素により遅らされた。すなわち、ほとんどの情報及び技術システム(複写機、パソコン、特許等)に対するソビエトの鉄の支配と、情報システムの研究に全く気乗り薄だったことである。実際、西側は、人工頭脳工学が1950年代後半になってニキータ・フルシチョフ書記長により公式に禁止されて以来、コンピュータ時代に早期に疑うことなく入っていた。しかしながら今日、情報システムにおけるロシアの関心は強く、新しい使用者が日々活動中である。不幸なことに、この技術の統制、使用及び販売を規制する法律は執行を欠いている。ロシアのソフトウェア及びハードウェアの海賊版が普及している。結果として、コンピュータは、この数年の内にロシア中に迅速に増加するだろう。海賊版技術の利用は、ロシアが我々自身の技術力に追いつき、恐らくいくつかの領域においては越えすらするだろう。情報化時代においては、自己満足の余地はほとんどない。

 この論文は、情報戦の用語のロシアの解釈を明らかにすることを試み、ロシア軍における情報革命の影響を調査する。米国のように、ロシア軍は、今なお術語学、概念、及び政策を議論しており、国際社会に提供すべきいかなる権威ある定義もドクトリンも存在しない。実際、情報技術領域において西側に追いつくまで、ロシアは、この章の最初の引用文が示しているように、彼らに対する情報作戦を使用するいかなる者の可能性も相殺するためには、喜んで核抑止力を使用するかもしれない。そのような考えは、全員にとって危険である。

 ロシア、米国、及び情報兵器を有するその他の国家は、現在情報戦固有の様相について共に議論し始める必要がある。他方、我々は、いかに電磁波帯域を通して情報システムを攻撃(第三世代の核兵器により)するか又はソフトウェアを破壊(洗練されたコンピュータ・ウィルスにより)するかという、もう1つの兵器競争にもはや突入するだろう1。同時に、協力には、貴重な技術を犯罪者又はテロリストの手に渡さないことが委任されている。

1. 多くの米国のアナリストが「情報戦」と呼んでいるものは、ロシアのウラジーミル・スリプチェンコ退役少将の見解における「第六世代戦争」の構成要素に過ぎない。彼は、五世代の戦争を以下のように初めて定義した。すなわち、(1)奴隷所有及び封建社会時代の戦争、(2)技術生産の拡大並びに火薬及び滑腔火器の出現、(3)火砲及び施条小火器、(4)自動兵器、戦車及び軍用機の導入、(5)過去50年間の、つまり最初の核ミサイルを生み出した技術及び科学革命である。スリプチェンコは、その骨子が要点として精密兵器、指揮・統制、並びに偵察及び防空機材を支援するための優勢データ処理を含む差し迫った発展として第六世代戦争を定義した。ウラジーミルI.スリプチェンコ、『第六世代に先立つ戦争のロシアの分析』、野戦砲兵、1993年10月、P.38-41。スリプチェンコはまた、「今日、数多くの諸国の安全保障に対する主要な脅威は、大量の最新の精密兵器並びにデータ処理及び電子戦機材の発展及び急速な受容におけるその遅れである・・・。異なる戦争世代の敵対者間の武装戦闘は、疑いなく最新の精密兵器を装備する側が勝利するだろう。大規模な軍部隊を維持し、部隊及び物資の相関関係に追随する必要性はなくなるだろう」と指摘した。


 この論文には、注意が必要である。軍の情報革命の議題を公然と提示しているロシア軍の将校は、ロシア国防省又は参謀本部を公式に代表しているわけではない。それ故、この研究は、個々の軍人又は文民のアナリストを引用している以上、『ロシアの軍事思想』の表現を避ける。

 

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情報戦の定義

 情報戦のいかなる公式(つまり、国防省承認の)軍事的定義も、この論文の研究においては見いだせないにも関わらず、いくつかの非公式なものが明らかにされている2。最も権威があるものは、参謀本部アカデミーのロシア将校により規定された2つのものであった。その1つは、技術/心理的方法における情報戦(彼らは、ロシア語のinformatsionnoe protivoborstboすなわち「情報対決」という語を使用した)を定義するものである。

2. ロシア人においては、「情報戦」の用語の「戦」の部分は、informatsionnaya "voina"、informatsionnaya "bor'ba"、又はinformatsionnoe "protivoborstbo"として訳される。ある情報筋によれば、informatsionnaya voinaの用語は、軍人よりもむしろジャーナリストにより、より広義に通常使用されている。前者は、「情報戦」も意味するinformatsionnoe protivoborstboの用語を好み、参謀本部アカデミーを含めていくつかの軍事情報源により既に使用されている。informatsionnaya bor'baはまた、軍人によっても使用されているが、それが他の2つとどのように違うかは不明である。どの用語が選択されるのか明確に言うことは、まだ非常に困難である。このことは、ロシア人と議論を始め、この用語だけではなく、他の多くのことに対して意見の一致を見るためのもう1つの理由でもある。いくつかの例は、以下の通りである。

 1994年の情報保全に関するある論文においては、informatsionnaya bor'baの用語は、「情報支援、情報保護、各種犯罪に対する利益の情報の遮断及び虚偽データをそれらに提供することを目的とした数多くの対抗策を含むもの」として定義される情報戦のために使用された(S.A.コモフ、『O kontseptsii informatsionnoi bezopasnosti strany(国家情報安全保障の概念について)』、軍事思想(Voyennaya Mysl')、No 4、1994年、P.16-17、参照)。この意義において、それは、攻勢よりも防勢的性格を有し、ロシアの国内状況とロシア国外の仮想敵との対決に等しく適用した。それはまた、偽情報の様相も有した。

 参謀本部アカデミー教授A.I.ポズドニャコフ大佐は、彼の論文の1つにおいて、多くの補足用語に加えて、情報戦のために引用した3つの用語の内、informatsionnoe protivoborstboinformatisionnaya bor'baの2つを使用した。ポズドニャコフとその他の論文において出くわした用語のいくつかは、用語及び定義に関する別紙に列挙されている。


 情報戦とは、敵対する両者間の紛争を解決する方法である。目的は、他者に対する情報優勢を獲得、維持することにある。これは、国家の意思決定システム、国民及びその情報資源機構に対して一定の情報/心理的及び情報/技術的影響を及ぼし、さらに核兵器、武器及び電子機材のような補足手段により敵の統制システム及びその情報資源機構を無効化することにより達成される3

3. 1995年5月、モスクワでのロシア将校との討議。同将校により述べられた参考文献は、情報戦の拡大解釈の例を提供している。彼は、情報戦(IW)を以下のカテゴリーに細分化した。

    I. 情報戦の哲学的問題
    II.国家又は全世界的安全保障の様相としての情報保全
    III. 政府の能力又は潜在力における情報資源
    IV. 情報戦の概念
    V. 武装紛争の情報化
      A. 武装戦闘の電子措置
      B. 武装戦闘の自動化
      C. 武装紛争のロボット化
      D. 武装紛争の知能化(精密誘導兵器)
    VI. 戦闘(作戦)準備の情報化
    VII. 戦場の情報化(戦場のデジタル化)
    VIII. 情報・心理戦
      A. 国民の軍事・愛国教育
      B. 我軍の兵員の精神・心理的準備
      C. 潜在敵国の住民及び軍の兵員に対する心理作戦
    IX. 情報技術戦
      A. 対決への指揮・統制システムの参加(C3)
      B. 情報戦における諜報の役割及び地位
      C. 情報戦の一分野としての電子戦
      D. 特殊数学的プログラムの使用による情報戦(ソフトウェア戦)
        1. いかに情報資源を無効化するか
        2. 情報資源の再配分
        3. 情報資源の防御
    X. 情報戦に参加すべき兵員の教育
    XI. 情報戦の国際法的様相

 定義された情報戦の作戦・戦略版は、以下の通りである。

 攻勢及び防勢軍部隊の作戦・戦略(作戦)任務の遂行の枠組み内においては、情報戦は、その目的が作戦(その戦闘行動)の目標の達成を保証することである、情報及び早期警戒、指揮・統制、通信、欺騙及び電子戦の戦力及び手段の特別に計画され、調整・統合された行動から成る。4

4. 同書。


 国防省の文民アナリストは、さらに以下に示す情報戦(彼は、"informatsionnaya voina"=「情報戦」と述べた)の別の定義を提示した。

「広義及び狭義共に、情報戦の概念は存在する。広義においては、情報戦は、各種『冷戦』、つまり、軍だけではなく、一般市民及び人々の公共/社会的自覚、国家行政システム、生産統制システム、科学統制、文化統制等に関しても、主として平時に実施される2国家間の対抗策の1つである。つまり、この意義において、個人、社会、及び国家の情報保全は通常理解されている。

 狭義においては、情報戦は、各種軍事活動/作戦/行動 (又はその当面の準備)の1つであり、その受領、取扱、及び使用に関する情報の効率、完全性、及び信頼性の形態における敵に対しての圧倒的優勢の達成、並びにこれに基づき戦闘優勢(勝利)を達成するための、効率的な行政決定及びその断固たる実行の成就をその目標としている。狭義における情報戦の実行は、近代国家の主として国防省の分野である5

5. Professor V. I. Tsymbal, "Kontseptsiya 'informatsionnoy voyny'" (情報戦の概念), 1995年9月14日、モスクワのロシア公務アカデミー(Russian Accademy of Civil Service)の会議で配布された論文。


 情報戦に対して国防省が公式に承認した定義は存在しないにも関わらず、これらの定義は、ロシア人が情報戦についてどのように考えているかの良質な一般概要を我々に提供するのに十分である。しかしながら、軍事及び公開出版物において発表された資料に基づき、用語のロシア人の解釈の他の重要構成要素が確認できる。これらの構成要素は、上記に引用したものとはほど遠い情報戦の解釈を提供し、以下の項目を含む。

  • 『情報兵器』対策における連邦政府通信・情報局(FAPSI)の役割
  • 戦争手段としてのコンピュータ(戦闘)ウィルスの使用
  • 戦闘潜在力の見積における情報構成要素の重要性
  • 平時及び戦場を問わない情報収集・処理・利用システム(偵察及び情報システム)並びに情報を否定するシステム(電子戦及び対情報システム)の構築の必要性
  • マスメディア及び特殊目的要素(心理作戦(PSYOP)要素のような)により実施される『情報操作、認識管理、及び反映統制』の特殊業務

 これらの要素の各々は、以下においてより詳細に検討する。

 

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情報治安機関(FAPSI)の見解

「情報打撃(ydary)の交戦は、この打撃の効果が急速に増大し、その源泉を確定するのが困難に成りつつあるため、世界の運命にとって極めて危険に成りつつある」

- A. I. Posdnyakov

 情報保全領域における脅威は、増大しつつある。あるロシアの情報筋によれば、全情報の9割は、無線電子形態において現在流通している。このことは、不法アクセスを助長する。加えて、ますますコンピュータ化されつつある世界においては、情報技術の使用から新しく、社会的に危険で有害な影響が現れている6

6. 「エリツィンは安全保障理事会委員会のリストを是認する」(Rossiyskaya Gazeta、 1993年11月9日)、情報保全に関する任務一つを含む「ロシア連邦安全保障理事会諮問委員会任務リスト」を受けてボリス・エリツィン・大統領が署名した「ロシア連邦安全保障理事会諮問委員会の活動改善に関する」ロシア連邦大統領令No.1686(1993年10月20日、モスクワ)


 1993年2月19日以来、ロシアにおける情報保全の責任を有する機関は、連邦政府通信・情報局(FAPSI)である。ある著者は、以下のように指摘した。

「法律は、FAPSIの管轄に4つの事項を割り当てた。すなわち、特殊通信(政府通信を含む)、暗号化通信の暗号及び工学・技術保全、特殊通信分野における情報収集活動、及び最高権力主体への特殊情報の提供である7

7. Aleksey Okhskiy, 「FAPSI――唯一の協力な組織は情報の包括的保護が可能である」(Sevodnya,、1995年9月8日,3。FBIS[外国報道情報サービス]-SOV-95-188-S,1995年9月28日, 19で報告)


FAPSIは、米国の国家安全保障局の任務を遂行していると思われる。それはまた、以下のことを行う国内犯罪者及びハッカー、外国特務機関、並びに『情報兵器』に対して対策を講じている。

「……情報への不正アクセスの獲得及び電子管理システムの使用不能化、並びに自分自身の管理システムの情報保全の向上である。政府情報及び遠距離通信システム、戦略ロケット軍の指揮・統制システム、並びに輸送、動力工学及び金融機構に対する『情報兵器』の使用からの潜在的損害は、それが原則として国家行政の全システムを破壊するために使用され得る以上、大量破壊兵器の効果と比較することができる8

8. Okhskiy, 20.


 ロシアは、情報兵器を極めて危険なものと考え、情報及び遠距離通信技術を他とは独立したものと見ている。この事実に立ち向かうために、FAPSIは、国家行政機関のために保護された特殊目的連邦情報・遠距離通信システム(SFITS)を開発している9。ロシアは、このシステムをもって、自国を「日常生活におけるSFTISの大量導入の極初期の段階で消費者に100%のセキュリティを提供できる唯一の国」とし、「FAPSIが我々全体のセキュリティをもたらし得る貢献は、過大評価ではあり得ない」と考えている10。FAPSIの長であるアレクサンドル・スタロヴォイトフは、あまり楽観的ではない。1995年7月のインタビューにおいて、彼は、外国の特務機関がその主要活動領域の1つとして『情報兵器』を使用しており、ロシアの複数の政府機関は電子監視装置に対して脆弱であると指摘した11。ロシアはまた、世界で唯一だと思われる暗号学アカデミーを創設している12

9. 同書。


10. Sergey Ptichkin, 「極秘事項:FAPSI専門家による特殊技術開発」(Rossiyskaya Gazeta, 8 June 1995, 8。FBIS-SOV-95-111, 1995年6月9日, 21で報告)


11. イズベスチヤ 1995年7月28日, 2(FBIS-SOV-95-154-S,1995年8月10日, 24で報告)


12. 同書。


 FAPSI職員は、金融、及び銀行界における情報保全にも特別な注意を払っている。国家は、組織がいかなる国の国家、商業、及び個人秘密も防護できることを保証するために、ライセンス及び証明制度を制定している。現在までに、情報保全分野において活動する250社の内53社のみが、ロシア連邦大統領令No 334を適用されている。法執行機関は、違反者である会社の活動を停止する責任を有する13

13. Okhskiy, 21.


 一方、軍も、保全システム、特に軍事ソフトウェア及び指揮・統制システムの必要性を認めている。1994年後半、軍は、その情報保全を各種脅威に対して『スイス・チーズのように穴だらけ』であると見ていた。軍事思想(Voennaya Mysl')に寄稿したある軍の将校は、情報脅威を引き起こす不安定化要素の源泉が、個人、組織、協会、敵対国、連合、及び環境を含むと指摘した。最新の情報システムですら、それが情報脅威を促進し、個人意識又は公共意識にこの脅威を植え付けるか、若しくは技術的故障から生じる自然発生的な脅威の増幅器と成り得るため、安定化から不安定化要素に迅速に変化し得ると彼は付け加えた14

14. S. A. Komov, "O kontseptsii informatsionnoy bezopasnosti strany" (国家情報安全保障の概念について) Voyennaya Mysl(軍事思想), no.4 (1994), 12-13.


 

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コンピュータ・ウィルス戦

「開戦後、戦闘ウィルス及びその他の情報関連兵器は、手元の多様な型の兵器から別のものまでのそれらの相乗又は相互に対立する効果により、強力な戦力増幅器として使用され得る」

――「情報時代の国家安全保障」ハンドアウト

 ロシア軍は、将来の情報戦の最も重要な様相の1つとしてウィルス又はソフトウェア戦を研究している。ウィルス戦は、「その使用が非人格的な印象を与え、平凡なコンピュータ・フーリガンとして容易に偽装されるか、あるいは対照的に、それ自身のソフトウェアに対する会社の著作権及び商業上の権利を保護するための手段として公然と演じられる」ため、戦略レベルの特殊な問題を提起する15。実際、戦争の従来の手段を使用することをあまり望まないとき、特にウィルス戦が成功する場合、暴力を通して物事を決定する理由は存在しないかもしれない。あるロシア将校は、以下のように指摘した。

15. Sergei Modestov, "Na Nevudimom Frontye-Aktivizatsiya Boyevykh Deystviy" (見えない前線戦闘行動), Delovoy Mir(産業界), 24 February 1994, 7.

 

「敵に対して宣戦を布告し、武装闘争の従来の手段を使用する何らかの大規模軍事作戦を実際に起こす必要性は存在しない。このことは、『隠れた戦争』の計画をかなり実行可能なものとし、より許容されつつある組織暴力の境界を浸食する16

16. 同書。


 特別な場合におけるウィルス又はソフトウェア/ハードウェア戦の使用、及び精度を保障するための兵器のコンピュータ化/小型化は、ロシア軍が、それが不確実性に基づいた戦力の相関関係から、精密撃破又はウィルスの埋込に基づいたものに移行しつつあると信じている事実が背景にある。

 ウィルスは、それが適時に放たれた場合、戦争の初期段階を全くの混沌状態に変え得る戦力増幅器と考えられる。ある将校の見解では、議論されるべきいくつかのウィルスが存在する。それらは、トロイの木馬ウィルス(一定の期間潜伏し、その後システムの破滅的な破壊を引き起こす)、強制隔離ウィルス(埋め込まれたユニットのプログラムを破壊し、その構成要素が分離されていない場合、全システムを破壊する)、負荷ウィルス(システム全体に迅速に拡散し、その機能を徐々に低下させる)、及び感知ウィルス(コンピュータのデータ記憶領域の所定のセクターに侵入し、緊要な時期にデータベースとその情報を破壊する)である17

17. Aleksandr Pozdnyakov, Vladimir Davydov によるインタビュー, 「情報保全」Granitsa Rossii , no.33 (1995年9月): 6-7, (FBIS-UMA-95-239-S, 1995年12月13日, 41-44で報告)


 あるロシア将校は、仮想敵のソフトウェアへのバグの挿入に従事するために、コンピュータ・ウィルス対抗策(Computer Virus Countermeasures)として知られる特殊機関を設立したこと米国を非難した。このことは、戦争計画をより現実的なものにし、これらの行動が平時に始まるため、戦争の初期段階に設定された線を消去すると、彼は断言した。それはまた、奇襲の原則にもう1つの特性を付け加えた18

18. A. Vladimirov, "Informatsionnoye oruzhiye: Mif ili real'nost'?" (情報武器:神話か現実か?), Krasnaya Zvezda (赤星), 1991年10月5日, 3.


 コンピュータ・ウィルスの問題は、ソ連が巨大な『情報空間』でなくなり、共和国が独立国家として分裂したときに、ロシアのソフトウェア・セキュリティの専門家にとって特に深刻なものとなった。全ての兵器又は指揮所は、同一ではないが類似したソフトウェア・プログラムを共有していた。崩壊後、全てのそのようなシステムを攻撃するウィルスの可能性が増大した。

「改編された連邦の構成要素は、単一の戦略軍事領域、そして必然的に国家領域内における情報網を直接通した『情報兵器』の配備をもたらし得る単一の情報空間の存在に疑問を投げかけた19

19. 同書。


 ロシア軍は、この欠点を克服し、さらに最も困難な任務である国家情報空間の防護並びにウィルスの検出及び破壊のための新しい要素を定めるのに尽力している。それは、一方でロシア人が『ステルス・ウィルス』と呼ぶ最も洗練された破壊プログラムの出現を生み出すアンチ・ウィルスを創出している。このウィルスは、通常の方法では活動しない。つまり、それは、拡張されたファイルの形で自身を暴露することはない。その代わり、ステルス・ウィルスは、ファイルが元来のサイズと種類を残したまま、ファイル内に隠蔽される。ロシア軍は、ステルス・ウィルスを暴露するために、ファイル機構と仮想自由空間を持ったディスクとファイルを比較する複雑な数学的手続を開発している20

20. R. M. Yusupov and B. P. Pal'chun, "Obespecheniye Bezopasnosti Komp'yuternoi Infosfery," (コンピューター情報環境のセキュリティを守る),Vooruzheniye, Politika, Konversiya (軍備・方針・転換), no.3 (1993): 23.


 

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戦闘潜在力の情報構成要素

 湾岸戦は、戦闘任務の遂行における攻撃、戦術指揮及び統制、並びに情報支援システム中の比率の変化をロシア人に示した。あるロシア将校は、勝利を兵站並びに戦闘及び情報支援システム(指揮・統制・通信・情報(C3I)システム)における圧倒的優勢の産物として評価した21。もう1つの重要な相違は、初めて兵器が優勢な側が勝利しなかったという事実であった。戦力の戦闘潜在力は、新しい方法により現れた。あるロシアの軍事理論家は、以下のように指摘した。

21. Yu. V. Lebedev, I. S. Lyutov, and V. A. Nazarenko, "Voyna v zonye Persidskogo zaliva: uroki i vyvody" (ペルシア湾岸戦争:教訓と結論), Voyennaya Mysl, no. 11-12 (December 1991): 14.


「軍事組織部門の質的パラメーターを重要視しつつ、軍の機構自体、部署と戦闘力の相関関係、技術装備、並びに指揮・統制、戦闘支援及び兵員訓練の問題における基本的優先事項を再検討する必要性を認識すべき時である・・・。作戦における両者の戦闘潜在力を分析するに当たっては、軍事作戦の最終的結果を大部分事前決定できる新しい兵器の技術的指標に最高度の重要性を置く必要性があると結論を下すことができる22

22. I. N. Vorobyev, "Uroki voyny v zonye Persidskogo zaliva " (ペルシア湾岸戦争の教訓), Voyennaya Mysl, no. 4-5 (1992), 69.


 ロシアの安全保障会議の現科学顧問であるV.S.ピルモフ退役提督は、1992年の軍事思想の別の論文においてこの見解を支持した。彼の意見によれば、情報支援は、より正確な目標地点へ誘導する新世代の偵察機材の開発を方向付けた。コンピュータに支援された部隊及び兵器統制基地はまた、情報支援技術を利用することにより可能とされる。大隊幕僚以下の末端使用者又は戦場における個々の兵士は、この技術を使用することができる。ピルモフは、情報技術の使用が、2つの要素により多国籍軍の戦闘能力を向上させたと評価した23。ペルシャ湾の紛争に関して、彼は以下のように付け加えた。

23. V. Pirumov, 「相互一致と防御の十分性」 Voyennaya Mysl, no. 2 (1992): 26-34(JPRS [合同出版物研究サービス]-UMT-92-007-L, 1992年6月5日, 14-20で報告)


「このこと全てにより、先進国における部隊戦闘有効性への情報支援の寄与の優先度及び重要度が、戦争実施の『電子/火力』概念の支配的役割を決定したと結論を下すことができる24

24. 同書,17。ロシア人は、戦闘潜在能力を、比例計数という形で、軍事集団あるいは個々のシステムの戦闘能力として表現する(部隊の標準ユニット、武器効率指数または有効性指示器としても訳せる)。情報とは、ピルモフによると、「その存在と価値が直接、一般化された武器使用有効性指示器に影響するような総和」で表現される。


 両者の部隊集団が兵器において等しい戦闘潜在力を有するが、一方が情報手段において他方に対して優越している場合、前者の戦闘潜在力は、遙かに高いものとなるだろう。このことは、ロシア軍における厳密な科学である25。さらに、ピルモフは、以下のように指摘した。

25. 戦力集団の戦闘潜在力(CPgr)の主要構成要素を見積もるに当たって、ピルモフは、以下のものを含めた。すなわち、兵器の戦闘潜在力(CPw)(兵器の情報支援機材を含まない)、参加する自律的指揮・統制システム及び機材(DeltaCPas)、情報(DeltaCPi)、指揮統制(DeltaCPcc)、並びに電子戦(DeltaCPew)である。


「その相互関係、性格及び内容、並びに与えられた戦闘任務の遂行の作戦・戦術条件を考慮した全情報支援機材の寄与の評価を可能にする、各種兵器、部隊、隊形及び戦力の大戦略隊形の各々の一定の指標の価値を見積もるための、発展した方法論(機械方法論を含む)が存在する26

26. 同上。


 ピルモフは、戦力間の戦闘潜在力比が、国家間の軍事戦略等価及び敵対部隊間の作戦・戦略等価共に見積もるに当たって使用され得ることを付け加えた。以前は戦闘潜在力比は、両者の戦力及び兵器システム間の質・量の比較を反映したが、現在では比率は、部隊集団の戦闘潜在力の情報構成要素を見積もることなくしては意味を成さない27。現代の武装闘争は、敵に対する勝利の保証に不可欠な要素の1つとして発展しつつある、敵対者に対する情報優勢のための闘争を含む。ロシアのパノフ退役将軍は、2つの領域はさらなる発展が必要であると信じている。1つ目は、平和作戦に現在利用されている部隊のための非殺傷、衝撃兵器の発展である。これらは、その物理的及び科学的構成のため人道的である。2つ目の発展領域は、高精度兵器の抑止力と成り得る『機能的破壊手段』兵器、電磁、高周波兵器である28。後者の使用は、情報技術に基づく兵器の有効性を否定できるため、特に重要である。電磁パルス兵器へのロシアの関心は、新しいものではない。核兵器専門家であるロシアのベロウス退役将軍は、改良された『超』電磁パルス(EMP)兵器、宇宙使用のための核弾頭、C3I機材を破壊する貫徹弾、X線レーザ全てが、第四世代の核兵器に属していると信じている。彼は、以下のことを付け加えた。

27.同書。ピルモフの他、別の将校は、精密情報技術に基づいた精密兵器のために、軍事見積における変化を予見している。この変化は、改訂された勝利の定義に起因している。過去の戦争においては、勝利は、V=A+B+C(V=勝利、A=敵軍部隊の撃破、B=敵経済の撃破、C=敵政治システムの撃破)として定義された。これらの全ては、敵領土の占領により達成された。将来戦は、異なる定義をして、一方に戦略規模における打撃を実施するのに十分な新しい物理法則に基づいた精密誘導手段及び兵器を保有させるだろう。この場合、勝利は、V=A+B(V=勝利、A=敵反撃手段の撃破、B=軍、経済及び国家指導者並びにC3Iに対する精密誘導兵器による打撃)として定義される。精密誘導兵器の奇襲的大量使用は、以前に核兵器に割り当てられていた任務の遂行を容易にするだろうとロシア将校は信じている(1994年のワシントンにおけるロシア将校との討議から)。


28. 同書。


「新しい物理法則に基づいた第五世代の核兵器は、肉体的又は精神的能力の崩壊を引き起こすために人体組織に作用するものを含む。ベロウスはまた、以下のものを含む、第六世代又は『根本的に新しいタイプの兵器』も論議した。すなわち、地球物理学、電磁波又は無線周波数、超低周波、遺伝子、倫理、精神、ビーム、レーザー、及び非殺傷兵器である。我々が現在予想だにしない他のタイプの兵器を可能にする、自然科学における大躍進があるかもしれない29

29.著者は、ベロウス(Belous)将軍と話して、この情報を提供してくれたJacob Kipp博士に感謝する。


 

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情報蓄積・処理・利用・統合

 1993年にロシアのV.N. メドヴェージェフは、軍における情報技術の普及を「情報を獲得、収集、処理、蓄積及び使用する方法、システム及び手段の活動の各種分野における創設、大規模編入及び利用の過程」として定義した30。ロシア人にとって、この過程は詳細な意志決定の鍵となる。敵部隊に関する一定量の情報が要求される。存在する情報量の増加が戦闘の組織及び準備に要求される時間を引き延ばし、情報化社会の不確実性が情報量の増加に従い増大している以上、迅速に反応する処理装置は必須である31。それ故、適時に情報を収集し、利用することは、極めて重要である。

30. Medvedev.


31. A. Ya. Vayner, 「指揮統制環境における敵について」Voyennaya Mysl, no. 9 (1990年9月): 18-23,(JPRS-UMT-90-009-L, 1990年11月21日, 10-13.で報告)


 湾岸戦後、ロシア人は、彼らがデータ収集、処理及び表示情報における優勢の発展を紛争の新しい現象とみなしたと書いている。過去においては、敵対両者は、兵器の種類及び軍事機材の構成要素において数的優勢を得ようと試みた32。情報蓄積、処理及び適応は、特に偵察及び電子戦システムにおいて今まさに重要なものである。

32. Lebedev, Lyutov, and Nazarenko, 111.


 同時に、ロシアは、敵の情報支援システムの崩壊に多大な努力を向けることを意図している。目的は、情報を収集、獲得、伝達及び処理するために、その能力の機先を制することにある。もう1つの任務は、「特に重要な情報の漏洩のあり得べき回線を防護しつつ、あらゆる方法により敵に偽情報を与えること」である33

33. Vayner.


 偵察及び電子対抗策(ECM)、並びに指揮・統制機材から得た情報の統合は、ロシア軍が戦闘システム理論と称するものの重要な構成要素である。目的は、正確な対応のために一定のデータ・リンクを要求するシステムに情報を迅速に統合することにある。概念は、個々のシステムの戦闘潜在力の合計を越える努力の相乗効果を創出することを戦闘システムに可能にする。

 

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情報操作/認識管理

 偽情報は、情報を操作し、人民又は集団に誤った情報を伝えるロシアの技術である。ある偽情報行動は明白なものであり、あるものは、認識の遅延、流言、反復、又は議論を通して作用する。特定の個人又は特定の社会集団は、偽情報の目標と成り得る。偽情報活動の目的は、人の意識及び精神に影響を与えることである。不安定な一般・政治及び社会・経済状況にある今日のロシアにおいては、全住民が敵の活動の影響目標と成り得る34。モスクワ当局は、このことを認め、彼らの見解において最も危険な状況に対する統制を獲得しようと試みている。情報管理は、明確に彼らの安定性の維持に重要である。

34. Maj Gen Yevgeniy Korotchenko and Col Nikolay Plotnikov, "Informatsiya-Tozhe oruzhiye: o chem nel'zya zabyvat' v rabote s lichnym sostavom" (情報は武器でもある:職員とともに働くときに忘れてはならないこと), Krasnaya Zvezda, 17 February 1994, 2.


 歴史的にソ連は、情報管理の理論を発展させることに非常に熟達していた。彼らの政治宣伝機構は、この努力の頂点にあった。情報を管理し、行動の主導者が欲することを人民(又は敵対者)にさせるための、彼らの最も関心を有した冷戦時代の方法の1つは、反映統制の理論により説明された。反映統制は、「他者の決定への影響に関する統制理論の一部門」である。「軍事的にそれは、敵指揮官の決心過程に対する支配を間接的に維持できる能力を軍の指揮官に提供する手段と見ることができる」。35反映統制は、敵に操作されていることを理解させず、方向付けられた方法で反応することを敵に強要するパターンを創出又は不完全な情報を提供することを含む。その狙いは、情報操作を通して敵対者により方向付けられた決心を行うことを敵指揮官に強制することにある。

35. Clifford Reid, "Reflexive Control in Soviet Military Planning,"「ソビエト軍事計画における反動的統制」(Soviet Strategic Deception(ソビエト戦略詐術), ed. Brian Dailey and Patrick Parker (Lexington, Mass.: Lexington Books, 1987), 294.


 ソ連国防省第1コンピュータ・センター(軍部隊01168としても知られる)に配属されたソビエトの研究家で、敵の行動に影響を与えるプロジェクトに従事したソビエト最良の知性の1人であるウラジーミル・レフェブヴレは、1950年代後半と1960年代前半に反映統制に従事した。彼の見解は、以下の通りである。

「……決心に当たって、敵対者は、紛争地域、彼我の部隊、彼我の戦闘能力等に関する情報を使用する。我々は、敵の情報回線に影響を与え、我々にとって好ましい方法で情報の流れを変えるメッセージを送ることができる。敵対者は、楽観的な最も現代的な方法を使用し、最善の決定を見いだす。しかしながら、それは、真の最善策ではなく、我々によって方向付けられた決定であろう。我々自身が効果的な決定を行うために、我々は、それが信じている情報に基づいた敵対者の決定が真実であることを演繹する方法を知るべきである。敵対者をモデルにした部隊は、異なる条件下ににおける敵の決心をシミュレートし、最も効果的な情報作用を選択する目的に適う36

36. 同書, 293.


 現代のロシア軍の刊行物の評論は、この理論が今なお有効であることを指し示している。例えば、海事論集(Morskoy Sbornik)1995年7月号において、M.イオノフ少将(退役)は、「敵の支配」に関する論文を著した。それが必要とするのは、

「大量の要素の考慮で敵を圧迫する圧力をもたらす特殊な方法を選択する技術、そのような圧力の異なる組合せを利用するために場所及び時間を決定する能力、現象を評価し、それらの発展を予測する能力、並びに高度な知性、卓越した専門的知識及び堅固な意志、さらに敵に対する適切な物理的及び心理的効果のための反復性のない技術及び組合せの使用である。敵を支配し、同時にその対支配努力を停止させるために、敵状、その行動の性質、及びその能力に関する情報が必要とされる37

37. M. Ionov, 「敵の統制」Morskoy Sbornik, no. 7 (July 1995):29-31, (FBIS-UMA-95-172-S, 1995年9月6日, 24-27で報告)


 イオノフは、『敵の支配』のためのいくつかの原則を提案した。第1に、彼は、望ましい対応の反映の本質を指摘した。すなわち、指揮官は、彼が課すことを望む条件に対する仮想敵の対応を想定しなければならない。2つ目の様相は、敵が活動を暴露し、敵自身の対統制策を実施するかもしれない以上、対応の不確実性の本質である。注意すべき3つ目の原則は、技術戦闘機材、特に偵察(これはまた、敵により好ましく偽情報を与えることを狙いとした行動を暴露させる)の発展水準の重要性を増大させつつある。最後の原則は、社会的要素並びに知的、心理的、倫理的及びイデオロギー要素を考慮に入れた、敵に対する無慈悲な形態の圧力の使用である。実例としては、紛争地域、無制限潜水艦戦の宣言(中立国のものも含むいかなる船舶も撃沈することを含む)等の民間人又は戦争捕虜に対する意図的な残虐行為である38

38. 同書, 25.


 ロシアの文民による情報戦に関する最近の論文は、ロシア人が冷戦時の米国の戦略防衛構想(SDI)をソ連を財政的に破綻させることを目的とした反映統制体系とみなしたことを指摘した。さらに著者は、米国が情報戦に関するその強調を通してロシアに同じことを行っているのかもしれないと付け加えた39

39. Georgiy Smolyan, Vitaliy Tsygichko, and Dmitriy Chereshkin, "A Weapon That May Be More Dangerous Than a Nuclear Weapon: The Realities of Information Warfare,"「核兵器より危険かも知れない兵器:情報戦の現実」Nezavisimoye Voyennoye Obozreniye (Supplement to Nezavisimaya Gazeta), no. 3 (18 November 1995): 1-2,(FBIS-UMA-95-234-S: 1995年12月6日, 31-35に英訳)

 

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結 論

 本論文は、各軍人及び文民の著作を通した情報戦のロシアの見解の一般概要を提供している。その部隊を近代化し、情報戦及び関連問題を理論から実践水準に移すことは、ロシア軍にとって焦眉である。解決すべき多くの問題が存在する。2年前に現れたある論文においては、以下のものが情報領域におけるロシア軍の優先問題として列挙された。

  • 全国的通信及びデータ送信システムを有する遠距離通信機材及びその代替物の創出
  • 基本問題指向システムの開発及び編入
  • 情報技術及びパソコン、進歩した通信及び遠距離通信装置、並びに『ペーパーレス』情報技術を利用するための改良された組織技術の基盤の軍の幕僚及び組織への装備
  • ソフトウェア開発のためのツール及び方法の改善並びにコンピュータ支援技術の使用
  • 技術、情報、言語、及びプログラムの互換性の保証
  • 軍事専門家の訓練、再訓練、及び特技向上のシステムの改善
  • 情報技術の標準化、先進的手段の創出40

40. Medvedev, 60.


 情報技術の獲得は、かなりの汎用技術が利用できるため、西側に急速に追いつく方法を説明する。それはまた、戦闘能力を増強する最良の方法の1つでもある。

 情報戦の軍事技術的構成要素とは別に、もう1つの要求が確認された。すなわち、不安定な軍事・政治及び社会・経済条件により浸透した環境における社会及びその軍に関する情報を統制することである。情報戦のロシア軍の認識は、結果として、国内外の心理的及び政治宣伝様相、並びに軍事技術構成要素をほぼ間違いなく含むだろう。

 西側は、ロシアにおけるこれらの発展と要求を無視すべきではない。その代わり、彼らの不安を鎮め、我々が冷戦時に各領域において行ったように、この領域においても我々が快く協力するために、ロシア軍と議論を始めるべきである。このことは、情報技術に対する両者の緊張を教え、理解と恐らく統合ドクトリン又はシステム(そしてできれば、統合術語学)の作成を促進し、そして情報機密システムに対する現在の新しい兵器競争の発展を防止するだろう。

 ロシアと情報戦について共に語り始めるのに、西側にとって最も簡単な方法の1つは、学術機関における会議の媒介若しくは非公式の組織又はクラブを通してである。ロシアにおいて、そのようなグループの一例は、国際情報アカデミーである。それは、文民のアカデミー会員と軍の将校から成る。アカデミーは、西側との広範囲な議論のためのフォーラムと成り得、その会員に数名の外国人を有するため、既にこの方法を指向しているようである。直ぐにこの議論を始めることにより、ロシアと西側は、情報システム及び技術に対する新しい兵器競争が勢いを増し、統制不能になることを防止することができる。情報技術領域における進歩の度合いと共に、時間は極めて重要である。

 

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寄稿者

Timothy L. Thomas (USMA;MA、南カリフォルニア大学)は、カンザス州フォート・リーヴェンワース(Fort Leavenworth)外国軍事研究所のアナリストである。かつて、第82空輸部隊と、合衆国陸軍ロシア研究機関にて勤務していた。トーマス氏は自然科学ロシア・アカデミーとロシア国際情報アカデミーのメンバーである。


この文書で述べられているのは、表現の自由のある空軍大学の学問的環境において培われた著者の結論と意見である。それは、合衆国政府、国防総省、合衆国空軍、空軍大学の公式見解を反映していない。

オリジナルのアドレス
http://www.cdsar.af.mil/apj/thomas.html

 

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