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Information Warefare Resources

情報戦
Infromation Warfare
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George J. Stein 教授, AWC

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 このエッセイで情報戦について論じられることの大半が非公式見解であることを、前もって述べておかねばならない。情報戦についての合衆国政府の定義として公式・公開資料はない。

 国防総省は情報戦に対する現在の考察・接近を「指揮統制戦(C2W)」と呼んでいる1。情報戦や指揮統制戦に関わる機関の間でも意見の一致がほとんどなく、情報戦問題を検討している民間国防分析家の間では、なおさら意見が一致していない。

1. Joint Chiefs of Staff, Memorandum of Policy 30, subject: Command and Control Warfare, 8 March 1993.


 それでは、わたしたちがこの新奇な概念について考えているのはなぜだろうか? その大きな理由は、もちろん、わたしたちはここで何が得られるのかわかっていないけれども、情報戦が何か重要なものであるということにはすべての機関が同意しているからである2。砂漠の嵐は、第3の波の情報戦の最初の戦争だったのか、それとも機械化された第2の波の産業戦の最後の戦争だったのか?3 それはわからないが、仮想敵を含む多くの人びとがそれを示そうとしている4

2.Gen Gordan R. Sullivan and Col James M. Dubik, "War in the Information Age," Military Review 74 (April 1994): 46-62.


3. Alan D. Campen, ed., The First Information War: The Story of Communications, Computers and Intelligence Systems (Fairfax, Va.: AFCEA International Press, 1992).


4. Mary C. Fitzgerald, "Russian Views on Information Warfare," Army 44, no. 5 (May 1994): 57-59.


 この記事は、情報戦と呼ばれる新概念の意味をつかもうとするものだ。わたしたちは4セットの概念を検討する。

(1)情報戦の定義。
(2)情報戦の戦略を発展させることについてどのように考え始めるか。
(3)現在の空軍原則が情報戦の原則を発展させるために最適な枠組みでありえる理由。
(4)情報戦を発展させるのに失敗する危険についてのたいへん短いコメント。

 

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情報戦の定義


孫子

 最も広義の情報戦は、わが国の目的を達成するためだけの情報使用である。外交、経済競争、軍事力使用のように、情報もそれ自体は国力のカギとなるものであり、さらに重要なことには、外交、経済競争、効果的な軍事力行使を支援する国家資源としてますます欠かせないものとなっているのである。この意味において情報戦は、全世界的にインターネット相互連結された情報通信手段を通じてある程度遂行された科学レベルの、あるいは国家間の闘争とみなすことができる5。これが意味するのは、情報戦とは、その最も基本的な意味において、将来の戦略レベルでの国家対国家闘争が最も起こりやすい「戦域」である、ということである。情報戦は戦域あるいは作戦レベル戦闘を変化させており、日々、軍事行動が実施されている。最終的に、情報戦は「戦争外作戦」が実施される戦域となりうるものであり、とくにそれによって合衆国がいくつかの重要な国家安全保証の目的を達成するためにこの惑星の全域における軍事力を駆使する必要がなくなるのである。つまり、情報戦は未来戦を定義するであろう。さもなくば、未来の紛争について考える焦点の中心となりえるのである。

5. John Arquilla and David Ronfeldt, "Cyberwar is Coming!" Comparative Strategy 12 (April-June, 1993): 141-65.


 狭義の情報戦は、おおよそ「概念と認識」という重要語である。情報戦はおおよそ「人間の思考法」だとか、それ以上に重要な「人間の意思決定法」という意味を持つ。情報戦は社会や軍部の通信網を通して完全にではないが広く遂行されているけれども、根本的に衛星・通信線・コンピューターに対する語ではない。人間とその意思決定に影響を及ぼすものである。空軍、一般機関が直面した最大の単一の脅威、すなわちわたしたちが情報戦について考え始めたということは、単に現在のわたしたちの現在のビジネス方法をふやすだけの強制力として、新しい技術、とくに情報技術を取り入れるという日常的な誘惑にわたしたちは駆られることになるであろうということだ6。技術だけに焦点をしぼることは、歴史的な釣り合いからいって戦略的な失敗となりかねない。情報戦の技術を、スピード・精度・致死性のような、身近に内輪で定義されたモデルにむりやり当てはめてしまって、ほんとうの軍事革命のためのヴィジョンと機会を逃してしまいかねない。情報戦は現実の戦闘である。孫子が述べたような、敵の最初の部隊が展開されうるまえに、あるいは敵の最初の発砲が行なわれる以前に敵の「戦略」がすでに破られているという彼我の差を生み出すために、情報を使うものである。

6. Carl H. Builder, The Icarus Syndrome: The Role of Air Power Theory in the Evolution and State of the U.S. Air Force , (New Brunswick, N.J.: Transaction Publishers, 1994).


 だから、情報戦の目標は、人間の精神、とくに戦争か和平かの重要な決定をなす精神、そして軍事的観点からは、いつ、どのように、戦略構造に組み込まれた財産と能力を執行するか否かという重要な決定をなす精神である。ラジオ・フリー・ヨーロッパ、ラジオ・マーティアキュートは冷戦の一側面であったということができる。つまり、合衆国情報機関は情報戦のための試演であった。諜報機関、衛星操縦手、通信専門家、コンピューターの天才、空軍諜報部や新しい合同情報戦センターの人たちが民間・軍用において用いる心理作戦(PSYOP)における現在の能力は、わたしたちが情報戦についての新しい能力の一部を発展させる環境を知るためのカギをいくつか示しているといえよう7。そして、コンピューター、電子戦、通信網の改造における情報戦の概念が、伝統的な国家対国家闘争などの軍事作戦には最もなじみが深いものではあるが、情報戦の戦場「サイバースペース」における新しい危険なプレイヤーも存在しているのである。このような急増するプレイヤーたち――グリーンピース、アムネスティ・インターナショナル、Legion of Doom(滅亡大隊)のような詐欺的コンピューター・ハッカー、ケーブル・ニュース網(CNN)で「人権侵害」を訴える第3世界の「反逆者」、あるいはイデオロギー・宗教に染まったテロリストたちは、全世界的コンピューター通信網に簡単にアクセスし、情報を交換し、地球的規模での政治行動を調整しているのである。ということは、伝統的国家における軍部や政府が、われわれの安全保障への唯一の重大な脅威というわけではないし、また国家安全保障政策の唯一の担い手というわけでもないということになろう8。サイバースペースは、新しい「戦闘空間」になりうるが、戦闘は精神に対する戦闘であり続ける。戦闘と戦闘空間を混同してはならない。

7. "Information Dominance Edges toward New Conflict Frontier," Signal 48 (August, 1994): 37-39.

8. Winn Schwartau, Information Warfare: Chaos on the Electronic Superhighway (New York: Thunder's Mouth Press, 1994).


 わたしたちがなじんでいると思われる文脈、つまり、国民の士気と国軍支援に影響を与える努力としての宣伝に注目してみよう。ベトナム戦争は、戦場で連勝し続けても銃後の情報戦争に敗北することの結果を教えてくれている。情報戦の到来以前に、大衆聴取者に影響するためのさまざまなマスメディアを通じて、宣伝が伝統的に行なわれてきた。新しい技術によって可能になった一つの重大な変化は、カスタマイズされた宣伝の潜在能力である。「適所」マーケティング・リサーチを専門とする企業から個人を狙って送られてきた政治的宣伝を受け取った者は、何もかも――個人の消費習慣や嗜好、国家ライフル協会を支援しているかTailhook集会に参加しているか、どんなテレビ番組を見ているか――知っている私企業が存在しているとわかって、その瞬間に戦慄してきたはずだ。クレジットカードで購入したものはすべてだれかの資料にデータが追加される。単に石鹸や政治家を売っているだけではないのだ。現在の公的・商業的データベースと、わずかな資金・技能でもだれもが基本的に使えるような情報源・メディア・情報発信手段の数が着実にふえ続けているということは、たとえば一例として、配備された軍人の家族に対して、カスタマイズされた情報戦攻撃の機会と「目標設定」を作り出しているのである。その士気に与える影響についてしばらく考えてみてほしい。コンピューター掲示板、携帯電話、ビデオカメラ、ファクス機――これらすべては、軍事・政治・経済的重要民間戦略構造物、あるいは配備部隊の家庭貯金額に対するわれらの対抗者が、カスタマイズされた激しい宣伝攻撃を行なうための侵入点や配布網を提供しているのである9。作戦セキュリティ(OPSEC)は、ますます、軍事セキュリティ問題で最も活発なものとなっっている。しかし、情報戦は、単なる宣伝・詐欺・伝統的電子戦と混同してはならないし、またそれに限定されてもならない。

9. Peter Black, "Soft Kill: Fighting Infrastructure Wars in the 21st Century," Wired, July-August 1993; 49-50.


 情報戦の新しい主要な要素は、テレビと報道ニュースの全世界的情報空間(infosphere)である。戦略級の情報戦は闘争の政治的文脈を形作る「戦場からの戦い」である。それは新しい「戦闘空間」を定義する。わたしたちは、「統合された戦場」に直面している。それは、すべての戦車や操縦席に全世界的測地システム(GPS)受信機をつけるというような普通の意味ではなく、戦争は戦闘とほぼ同時に政治にも組み込れるというクラウゼヴィッツの述べた意味においてである。CNN、その国際的な競争相手、あるいはビデオカメラを持ったテロリストによって作り出された「仮作的」世界に対して、国家指揮局(NCA)がじわじわと「反動的」になりつつあるという危険の中にあることを、多くの人が感づいている10。このメディアが創造してわたしたちが住んでいる世界は、「虚構的(fictional)」というよりも「仮作的(fictive)」である。というのは、CNNでわたしたちが見るものは「正しい」ことではあっても、全体的で適切な文脈上の真実ではないからである。にもかかわらず、この仮作的世界は、政治や軍隊が「何かをなす」と考えられる政治的に適切な世界となる。議員、国民を動かす権威、母親たちはみな、「インスタント・ニュース」と、それに続く「インスタントな」批判論評を見ているのである。これは、いよいよもって司令官の悪夢である。第一に、15人の下院議員が統合幕僚長を召還し、CINCで放映中のドラマで「ナイトライン」作戦について退役提督某々が批判的分析をしたのは有効かどうかを尋ねた。さらに重要なのは、合衆国軍が配布した対マラリア薬がボンゴ・ボンゴには効かないというテレビ報道を見たばかりの怒れる家族たちから、300人の下院議員が1万通もの電話・電子メール・ファクス・手紙を受け取ったということである(この報道は、ある不幸な防衛契約者からフランスのテレビに周到にリークされたものであり、CNNは無邪気にもそれを繰り返したのだ)。これらすべては、現実の「悪者」が情報戦争に手を染めようとしなくても起こったことである。想像してほしい。ソマリアはニュースとなり、わたしたちはソマリアに向かう。現実に同様の深刻な飢餓・無秩序・略奪のある隣国スーダンのかわりに。スーダンには「スカイリンク」とともにある報道者がいなかったというのが真実だ。というのも、スーダン政府はCNN記者にビザを発行しなかったからである。わたしたちはみな、ソマリアでマハメド・ファラー・アイディード逮捕に失敗した急襲の画像のインパクトを知っている。そして、政府、軍、ボスニアのような内戦における党、あるいは宗教的狂信者が、戦略情報で優位を得るために「戦場からの戦闘」のマルチメディア・マルチソース仮作世界を処理するという潜在能力は、明白にある11。インスタント通信のこれらの新しい技術がいかに戦場を変えるかについて、武装機関はようやく考え始めたところであり、率直に言えば、よい答えはまだ出ていない。

10. Douglas V. Johnson, The Impact of the Media on National Security Decision Making (Carlisle Barracks, Pa.: Strategic Studies Institute, US Army War College, 1994)

11. John Arquilla, "The Strategic Implications of Information Dominance," Strategic Review 22, no. 3 (Summer 1994): 24-30.


 仮作的または虚構的作戦環境は、大衆を狙っているか対象を絞っているかにかかわらず、政府や、ますます多様化したネットワークを使うあらゆる種類のプレイヤーたちによって、生成・送信・分配・放送されうる。国家その他のプレイヤーがインターネット通信の世界にアクセスして、「敵対」国家が通貨価値切り下げをしようとしていると思われるとの内容の金融情報を流すためにネットワークを使うという情報戦争も潜在的に可能なので、こうなれば金融混乱を簡単に招くことができる12。選ばれた聴衆に対して直接衛星ラジオやテレビ放送、あるいは従量制プログラムの中央官制によって、大多数の指導者は一族から兵士を、あるいは軍から部族を排除することに決めたのだ、と狙われた国家のある地方・地域の人々に思わせるだけの潜在能力も与えられている。あなた自身の想像力によって、マルチソース通信システムが、軍隊と国家の指導的権威に対して、どのようにわたしたちの利益に対する情報戦闘空間を形作る社会級情報戦のための無数の新しい能力を付与したのかという多くの例を提示できるだろう。

12. H. D. Arnold et al., "Targeting Financial Systems as Centers of Gravity: `Low Intensity' to `No Intensity' Conflict," Defense Analysis 10 (August 1994): 181-208.


 現在の技術がどのように戦略級情報戦で使われるか、一例を示しておこう。すでによく知られたハリウッドの現実模倣技術の能力がわたしたちの兵器庫に追加されるなら、天才的で革命的な新しい形態の戦いが可能になるだろう。今でも、生の俳優をコンピューター生成ビデオ画像と組み合わせる技術は、「仮想」記者会見、サミット、あるいはおそらく物理的事実としては「効果」を有していないような戦闘を、簡単に作り出すことができる。蓄積されたビデオ映像は、選ばれたどんな効果でも無限に生み出すように再結合あるいは「素材化」されうる。これは、伝統的軍事策謀を超えて働き、いまや、おそらく「写真」は千両の戦車に匹敵するであろう。敵領土で「デジタル化」された多数派のリーダーと「デジタル化」されたジミー・カーターが会談して、誠実な兵士たちに戦闘をやめて家に帰るようにと話した、という全国放送がなされたらどういう効果があるか、想像してほしい。忘れないでほしいが、情報戦の目標は、反対者の心の中の決定であり、人の心の戦闘空間は幻影の領域でもあるのだ。

 これで少し遊んでみよう。信頼できる商用衛星を乗っ取ることによって、仮作的シミュレーションが放送される。これはSFではないかもしれない。トム・クランシーの最新小説『日米開戦(Debt of Honor)』の読者なら、SFではないと考えるだろう。同時に、さまざまな目標国における「狙い澄ました情報」がネット経由でアクセスされる。いくつかの目標は、仮作的シミュレーションを強化するものを受け取る。その他の人々は、目標国で予期された反応をわずかに誤って導くさまざまなものを受け取る。そして対向軍全体が、巨大な電子的詐術計画の主体となる。ここで何が起こるだろうか?

戦術級では、これは相手の観察・適応・決定・行動(observation, orientation, decision, action -- OODA)ループの麻痺である13。対抗者の「観察」能力は、台無しになるか、あるいは矛盾した情報・データによって非常にわずかに、微妙に急襲されることになる。さらに重要なことに、相手の「知っている」世界をわたしたちの別の現実で置き換えるため、目標の理論の可能性そのものを攻撃されることによって、「順応」能力が低下する。「決定」は、わたしたちの仮作的・仮想的世界にますます反応し、さらに重要なのは、敵の戦略構造内での軍事的「行動」は、目標のための方法に理性的関係が保てなくなり、ますます麻痺してくる。彼がなすことは現実に基づいていない。わたしたちが彼の現実を変えたからだ。これが現実の戦闘なのである。ということは、わたしたちが戦略的ヴィジョンと情報戦への実際の能力を高めるならば、首尾一貫した戦略を形成・実行する能力を破壊することによって、敵対者を殺すことなく制服するという「技能の絶頂」に手が届くところまで、アメリカの戦略能力を近づけることができる。では、わたしたちは情報戦戦略の発展についてどのように考えるか?

13. John R. Boyd, "A Discourse on Winning and Losing," 1987. Unpublished set of briefing slides available at Air University Library, Maxwell AFB, Alabama.


 

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情報戦戦略の発展

  情報戦の戦略を開発することは、現在の情報技術について、そして国家の指令的権威と軍隊の使用に供給する目的での戦略に変換しうる方法について、真剣で創造的な「枠外の色」的思考をすることから始まる。これは、情報について新しい方法で考えることも含む。どんな情報が必要なのか? 情報を集め、処理し、分配し、使う方法に、どのような組織的変化が起こるのだろうか? どのような情報に基づいた作戦上の変化が起こるのだろうか?14。軍は、「指揮統制戦」のラベルのもとでこの新しい思考を始めた15しかし、これは最初のステップにすぎない。「デジタル化された戦場」は、戦略的思考に革命をもたらし損ねたからだ。これを少し歴史的に解説しよう。上院広報官ニュート・ギングリッチは、アメリカ南北戦争の少しまえにプロイセンのヘルムート・フォン・モルトケ将軍が鉄道と電信について考えていたことを観察している。

 

モルトケ

14. Maj George E. Orr, Combat Operations C3I: Fundamentals and Interactions (Maxwell AFB, Ala.: Air University Press, 1983); and Frank M. Snyder, Command and Control: The Literature and Commentaries (Washington, D.C.: National Defense University Press, 1993).

15. Lt Col Norman B. Hutcherson, Command and Control Warfare: Putting Another Tool in the War-fighter's Data Base (Maxwell AFB, Ala.: Air University Press, September 1994).


もし動員命令を迅速に発するために電信を使い、それからプロイセン中に散らばった基地から部隊を集中させるのに鉄道を使うなら、我々は軍事行動のカギとなる戦場の場所に主要な勢力を集中させることができるであろう。我々は陸軍をかり集めて、それから集中させ、そしてカギとなる戦いが起こることを望む場所まで行軍させる必要がなくなるだろう.16

16. Newt Gingrich, "Information Warfare: Definition, Doctrine and Direction," address to the National Defense University, Washington, D.C., 3 May 1994.


すぐれた洞察である。そしてこれは、不幸にも、わたしたちが情報戦を単なる指揮統制戦として考えているときにわたしたちがいた場所なのだ17。つまり、この技術はどのようにして、戦車・軍艦・戦闘機がいまの能力よりちょっといいことができるようにするのか、ということだ。ギングリッチ議員は、統合参謀と機関が模倣すべきはモルトケの次の洞察であると論じた。

17. Joint Publication 3-13, "Joint Command and Control Warfare (C2W) Operations," second draft (Joint Chiefs of Staff, Washington, D.C., 15 January 1994).


しかし、プロイセン陸軍は組織されておらず、列車に乗ってどこか別のところに行けと言う電信命令に反応できるようにする方法で行動することもない。それは我々が組織、訓練、装備する方法ではない。私が必要とするのは、こうするのに必要な情報を得る方法、我々がこの情報を使うことができるように組織される方法、管理するための新しい方法の指摘を再構成することだ。私が必要としているのは、新しい総参謀体系なのである.18

18. Gingrich の演説。


フォン・モルトケ元帥は、新しい技術を革命的に使えるようになるまえに、情報・組織・管理にどんな変化が必要かという質問を高次に解決する必要がある、と理解していた。これはわたしたちがいま直面している問題である。軍隊は情報技術が未来の戦争を操るものとなるであろうというよい思想をもっているが、わたしたちはまだ、戦略的ヴィジョンを明らかにもしていないし、これらをすべて現実のものとするのに必要な高次の変化を特定してもいないのである。

 

ウィリアム・ミッチェル将軍

 さて、別の考え方を付け加えよう。今度は空軍の資料からである。いくつかの点で、「情報戦士」はウィリアム(「ビリー」)ミッチェル将軍や空軍兵パイオニア同盟に似ている。空軍力のための基本的なミッチェルのヴィジョンは、彼自身には負担が大きかったが国家に大きな利益をもたらすものであった。つまり、戦いの新しい形態の発展である。さあ、ここが重要ポイントだ。一度空軍力戦略のビジョンが明確に示されたとき、人々はこう言うことができた。「はい、これがどのように戦いを変えるかわかります」と。それから技術がそれに続いた。「おお、空爆――君は爆撃照準機を必要とするだろう」「おお、敵機だ――我々は何らかの防御システムが必要だ。それをレーダーと呼ぼう」というように。これがポイントだ。技術は単に軍事力を増幅するだけではない。軍事における革命と新しい戦争の形態を生み出すような新技術にともなう戦略的ヴィジョンの相互作用である。

 

 そして、これは情報戦の挑戦である。わたしたちとその敵が何をいつどのように観察・適応・決定・行動するかということについてのそのような不一致を、あるいは敵が助けもなく、戦場に到着すらできないという「情報の優越」のそのような水準を作り出せるようにしてくれる情報と情報技術について、何かあるだろうか? 現在の空軍力理論のように、情報を使って、時間・場所・敵の戦略構造の全縦深に同時に交戦する「情報軍事行動」を創造し、その結果、戦略的に麻痺(わたしたちが聞き、話し、見ることを許したこと以外には何も聞こえず、話せず、見えなく)させる方法はあるのか?19 わたしたちは相手の目を見えなくさせるだけではなく、わたしたちが見せたいと思っているものを、それが「わたしたちの作り出した」現実であって、相手の現実ではないということを認識させないようにして相手に見せるのである。このような種類の戦略的情報戦を思い描けるだろうか? そして、空軍力の場合と同様、技術は戦略的ヴィジョンについてくるのである。今のところ、衛星放送から直接、コンピューターウィルスを送り込めなくても大丈夫だ。今のところ、すべての航空防衛レーダーが、遠隔操作の「無人航空機」(UAV)からの電磁波爆発を防ぐようになっていなくてもかまわない。今のところ、各国の独裁者のスイス銀行口座を「国内税収機関」(IRS)に転送することができなくてもかまわない。今のところ、わたしたちが裏口から入るときに、適切な電子署名で完成された15分隊のホログラフィ映像を投影できなくてもかまわない。あるいは、今のところ、敵国のすべてのラジオとテレビに、フォレスト・ガンプと「最高指導者」とのインタビューを送り込めなくてもかまわないのである。情報戦の戦略的理論を展開せよ、そうすれば技術がついてくる。

19. John A. Warden III, The Air Campaign: Planning for Combat (Washington, D.C.: National Defense University Press, 1988).

 

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情報戦原則

もちろん、公式な情報戦原則はなく、情報戦を軍事的にあてはめて指揮統制戦を記述した各機関の努力は不完全なままになっている。空軍が視野に納めていたのはほとんどが指揮統制戦で、敵のとった軍事力に対するOPSEC、詐術、PSYOP、電子戦、物理的破壊試行について「統合、整合、戦闘解除、同時進行」として定義されているが、これは空軍・宇宙軍双方の真価を認めることに失敗したか、あるいは空軍力原則がどのように情報戦軍事行動の発展を導くかを評価し損ねたということを意味している。それでは、わたしたちはどのようにすれば、空軍マニュアル(AFM)1-1「合衆国空軍の基礎的航空宇宙原則」として示された現在の空軍原則を、情報戦について考え始めるための雛形として使うことができるだろうか?

第一に、空と宇宙の領域における航空戦と同様、情報戦は情報領域における戦いであると仮定しよう。航空戦の目的が、空中において敵の行動から友軍を守りつつそれを利用するために、空中領域を統制することであるように、情報戦の目的は、「情報空間」を統制して、情報領域経由で行なわれる敵の行動から友軍を守りつつその空間を利用することにある。こうして、制空がふつう、攻撃的・防御的対空としての「対空」と述べられるように、情報統制の戦略・原則はどれも、攻撃的・防衛的対情報という言葉で表わされる「対情報」と呼ばねばならない。攻撃的対情報は、攻撃的対空同様、心理学的作戦・詐術・電子戦・物理的攻撃をとおしての情報策略、そして物理的攻撃・電子戦としての情報防衛などとして見ることができ、そして、公務・民間業務を視野におさめることも多い。防衛的対情報は、防衛的対空同様、物理的防衛・OPSEC・通信セキュリティ・コンピューターセキュリティ・対諜報のような行動的防衛などであり、また、公務におけるものである。受動的防衛は、建物強化や物理的セキュリティなどの標準的な概念などである。

 もし、制空のように情報領域における統制または優越が目的であるなら、それ自体で完結するものではなく、空軍原則同様、指揮統制戦攻撃による戦略的攻撃・制止・近接「戦場」支援に対する情報の優越を利用できるようにする状況が必要である。戦略的「戦場からの戦闘」と作戦的「情報戦闘空間」の双方の情報における優越は、伝統的な全面戦のための空中・宇宙統制のように、戦略的効果のカギとなるものである。情報戦を考えるために空軍力原則が妥当であることは、いまや明らかになった。空軍力議論の歴史を一覧するなら、航空機が単に「現実の」効果をもたらすための近接航空支援を強化する力にすぎないと主張した人々は、決して、空軍力の戦略的潜在能力を認識していなかったし、戦略的航空任務のための技術を支援することもなかったとわかる。情報戦についていえば、武装兵に関連する情報戦任務のみが指揮統制戦であるとか、指揮統制戦は単に展開した敵軍の通信と情報の利点に対する力を強めるだけであるというように論じる原則によって支配されてしまっており、戦略的情報戦のための情報における優位を利用したり、カギとなる技術を特定したり身につけたりする潜在能力が発揮されていない。指揮統制戦は、近接航空支援同様、不可欠な軍事的任務である。それは実際、情報戦の中心的な構成要素ではあるが、しかし、近接航空支援その他の「伝統的」戦闘順応任務のように、そのすべてではない。湾岸戦争における「空中軍事行動」同様、戦略的意義を持つ「情報軍事行動」を構想するための土台として空軍原則を使用することは、挑戦である。たとえば、「情報攻撃」における「速度、精度、致死率」は何にあたるであろうか?

 

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エピローグ:情報戦戦略を展開しない危険

 もし世界が本当に第3の波=情報時代に向かって動いているのであれば、防衛的・攻撃的情報戦のための戦略を展開するのに失敗することは、合衆国と合衆国軍を「電子的真珠湾」という結果を受け取る状況に追い込まれるであろう20 。情報は流動的である。わたしたちが今有しており、湾岸戦争でも示された優越性は、情報技術の拡散をほとんど統制できなかったために失われるかもしれない21。第二に、それは小さな世界であり、仮想敵がわたしたちの技術を観察し、作戦に導入し、自分では何も発見することなくわたしたちのものをコピーすることもできる22。新しいコンピューター・ソフト開発の最大の中心地は、シリコンバレーではなく、インドのマドラスだということを思い出してほしい。彼らは誰に何を売っているのだ? 最後に、最初の点に戻るが、もし合衆国軍が情報戦を単に力を増幅するだけのものと考え、現在の戦闘法をほんの少しよくするために技術のごくわずかの断片を適用するならば――もし機械化された砂漠戦を終わることなくいつまでも実行するために「戦場をデジタル化」するならば――わたしたちのやり方でゲームをすることを拒否する誰かが現実の脅威となる。彼らがフォン・モルトケ伯爵やミッチェル将軍のように、現実を厳しく考え、自由世界市場において共同使用技術を獲得し、彼らの戦術的概念全体を改め、情報戦の戦略を飛躍させたらどうなるだろうか?

20. Alvin and Heidi Toffler, War and Anti-War: Survival at the Dawn of the 21st Century (Boston, Mass.: Little, Brown and Co., 1993).

21. V.K. Nair, War in the Gulf: Lessons for the Third World (New Delhi, India: Lancer International, 1991), see especially chap. 4, "Role of Electronics in the Gulf War," and chap. 5, "Desert Storm: Air Power and Modern War."

22. Jean Pichot-Duclos, "Toward a French `Economic Intelligence' Model," Defense Nationale, January 1994, 73-85 in Federal Broadcast Information Service: West Europe, 25 January 1994, 26-31.


わたしたちはまだ、情報戦の戦略を有していない。そして、第3の波の戦いに対してどのように再編成・再訓練・再装備するかという高次の質問にも答えていない。しかし、これらがいくらかでも意味を持っているとすれば、今や、あなたは戦略を生み出すヴィジョンを展開することが急ぎ求められていることがわかったはずだ。戦略は、技術・組織的変化・軍事行動の新概念を決定するだろう。わたしたちは真の意味でフォン・モルトケやビリー・ミッチェルにならなければならない。――「もしそのためにこれを使えるなら、我々ができるようになるのは……」

 

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寄稿者

Dr. George J. Stein (文学士, Assumption College; 文学修士, Pennsylvania State University, 博士号, Indiana University)は、国際安全保障研究中枢の理事であり、アラバマ州マクスウェルAFBの空中戦大学(Air War College)ヨーロッパ研究教授である。1991年に空軍大学(Air University)に来る以前は、ステイン教授は1977年からマイアミ大学の学際的研究学部で教えていた。彼はSPACECAST 2020で活動していたこともあり、情報戦についての研究を続けている。

但し書き

この文書で述べられているのは、表現の自由のある空軍大学の学問的環境において培われた著者の結論と意見である。それは、合衆国政府、国防総省、合衆国空軍、空軍大学の公式見解を反映していない。

オリジナルのアドレス
http://www.cdsar.af.mil/apj/stein.html

 

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