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化学兵器表9 最近のガス兵器の種類とその性質(20℃でガス状態でなくとも、現在、散布はすべてエアゾールでできる)[pp78-79] |
種類 | 名称 | 米軍記号 | 化学構造式 | 20℃での状態 | におい | 持久度 | 医学的効果 | 作用の速さ | 水との作用 | 腐食性 | LD50 mg/m3 |
神経性 | タブン | GA | 略 | 無色または淡褐色液体 | わずかに果物臭 | 持久性 | 神経機能を侵し、致死効果あり | 極めて迅速 | 極めて徐々に加水分解 | なし | 400 |
サリン | GB | 略 | 無色液体 | 無臭 | 一時性 | 鉄をわずかに腐食する | 100 | ||||
ソマン | GD | 略 | 400 | ||||||||
糜爛性 | イペリット(マスタード) | H3 | (ClCH2CH2)2S | 無色液体 | 無臭 | 持久性 | 目、皮膚、呼吸器を傷害する | 数時間〜数日間、比較的緩慢 | 極めて徐々に加水分解 | 少なし | 吸入1500 |
ルイサイト | L1 | ClCHCHAsCl2 | 刺激は敏速、効果は緩慢 | 容易に加水分解 | あり | 吸入1500 | |||||
窒息性 | ホスゲン | CG | COCl2 | 無色気体 | リンゴ腐臭 | 一時性 | 肺傷害致死効果 | やや緩慢 | 急速に加水分解 | 水分あるとき金属を腐食 | 3200 |
塩素 | − | Cl2 | 緑黄色気体 | さらし粉の臭 | 水と化合し、塩素酸を作る | 3200 | |||||
嘔吐性 | アダムサイト | DM | NH(C6H4)2AsCl2 | 黄緑色固体 | 刺激臭 | 一時性 | 上気道を刺激する | 迅速 | 水に溶けにくい | 鉄、真鍮を腐食 | 30000 |
ジフェニルクロルアルシン | DC | (C6H5)2AsCl | 白〜褐色固体 | 少ない | 15000 | ||||||
催涙性 | クロルアセトフェノン | CN | C6H5CCH2Cl | 黄褐色固体 | 芳香性刺激臭 | 一時性 | 目に対して刺激性あり | 迅速 | 水に溶けにくい | なし | 11000 |
ブロムベンジルシアニド | CA | C6H5-CH-Br/-CN | 無色液体 | 芳香性からし臭 | 目、鼻を刺激 | 極めて徐々に加水分解 | 15000 | ||||
クロルベンジルマロノニトリル | CS | C6H4CH2CCl-CN/-CN | 白色結晶固体 | 刺激臭 | 嘔吐性あり | ? | ? | ? | |||
血液毒 | 青酸 | AC | HCN | 無色液体 | 苦扁桃の臭 | 一時性 | 呼吸障害 | 極めて迅速 | 極めて徐々に加水分解 | 少ない | 2600 |
クロルシアン | − | 致死効果 | 容易に加水分解 |
生物兵器表14 最近のおもな生物兵器の種類とその性質(ロスチャイルドによる)[pp150-151] |
種類 | 病名 | 病原体 | 感染経路 | 潜伏期 | 死亡率 | 免疫 | 感染性 | 処置 | 備考 | ||
自然流行 | 人為流行 | 自然 | 人工 | ||||||||
ウィルス | 天然痘 | 天然痘ウィルス | 接触、媒介物、空気感染など | エアゾール、水、媒介物による | 6〜22日 | 免疫6〜10% 無免疫25〜40% |
あり | あり | 非常に高い | なし | 大量吸入には免疫も無効 |
オウム病 | オウム病ウィルス | 鳥類の糞が乾燥、空気感染 | エアゾール、水、食物など | 1〜5日 | 処置<2% 無処置95〜100% |
あり | ? | 比較的高い | テトラサイクリンなど抗生物質 | 診断が困難 | |
日本脳炎 | 日本脳炎B型ウィルス | 蚊、鳥類、ブタから人へ | エアゾール、昆虫による | 7〜21日 | 35〜60% | あり | あり | 低い | なし | 子どもや老人が罹患しやすい | |
ベネズエラ馬脳炎 | ベネズエラ馬脳炎ウィルス | 蚊、鳥類から人へ | エアゾール、昆虫による | 2〜5日 | <1% | あり | あり | 低い | なし | インフルエンザ類似症状 | |
黄熱病 | 黄熱病ウィルス | 蚊 | エアゾール、昆虫による | 5〜10日 | 30〜40% | あり | あり | 低い | なし | 急性 | |
リケッツィア | 発疹チフス | 発疹チフスリケッツィア | ノミ、シラミから人へ空気感染 | エアゾール、水、媒介物、昆虫 | 5〜15日 | 処置<5% 無処置10〜40% |
あり | あり | 非常に高い | クロラムフェニコールなど抗生物質 | シラミによる媒介は非常に危険 |
ロッキー山紅班熱 | ロッキー山紅班熱リケッツィア | ダニ | エアゾール、昆虫による | 2〜14日 | 処置<1% 無処置10〜90% |
あり | あり (危険) | 低い | 最も強烈なものの一つ | ||
Q熱 | Q熱リケッツィア | 動物、ダニから空気感染 | エアゾール、水 | 14〜26日 | 処置<1% 無処置1〜4% |
あり | あり (危険) | 低い | 程度まちまち | ||
細菌 | 炭疽 | 炭疽菌 | 動物から経皮経口空気感染 | エアゾール、食物による | 1〜7日 | 処置5〜20% 無処置 高い |
不明 | あり | 低い | ペニシリンなど抗生物質 | |
ブルセラ症 | ブルセラ菌 | 皮膚の傷、水、動物から人へ | エアゾール、水、食物、昆虫 | 3〜21日、ときに数ヶ月 | 処置<2% 無処置2〜5% |
? | なし | 低い | 特異的なものなし | 不規則に発熱。筋肉が痛み衰弱 | |
コレラ | コレラ菌 | ハエ、排泄物、食物など | エアゾール(?)、水、食物など | 1〜5日 | 処置5〜30% 無処置10〜80% |
あり | あり | 高い | 効果的なものなし | 激しい腸疾患 | |
ペスト | ペスト菌 | ノミ、ネズミ、空気感染 | エアゾール、食物、昆虫 | 1〜10日 | 処置<10% 無処置30〜90% |
あり | あり | 経路で異なる | 抗生物質 | 処置不十分ではほとんど致死 | |
赤痢 | 赤痢菌 | 食物、水、ハエなどから人へ | エアゾール、水、食物、媒介物 | 1〜7日 | 処置2〜5% 無処置2〜20% |
なし | なし | 高い | テトラサイクリンなど抗生物質 | 子ども、老人に危険 | |
野兎病 | 野兎病菌 | ウサギからダニ、ハエ、食物へ | エアゾール、水、食物、昆虫 | 1〜10日 | 処置<1% 無処置5〜8% |
あり | あり | 低い | 抗生物質 | 不具を招く | |
馬鼻疽 | 馬鼻疽菌 | 動物、排泄物、空気伝染 | エアゾール、水、食物、媒介物 | 1〜5日 | ? | なし | なし | 低い | ? | ||
腸チフス | 腸チフス菌 | 食物、水 | エアゾール(?)、食物など | 7〜14日 | 処置2〜3% 無処置10% |
あり | あり | − | クロラムフェニコール有効 | ||
真菌 | コクシディオイドマイセス | コクシディオイデス・イミチス | 奉仕吸入、皮膚の傷口から | エアゾール | 1〜3週 | 非常に低い | あり | なし | 低い | 特異的なものなし、外科手術 | |
クリプトコッカス症 | クリプトコッカス・ネオフォルマンス | 空気伝播による胞子吸入 | エアゾール、食物などによる | 不明 | 非常に高い | 不明 | なし | 低い | 慢性、致死性 | ||
毒素 | ボツリヌス | ボツリヌス | 食物 | エアゾール、食物などによる | 2時間〜14日 | 60〜70% | なし | あり | − | 抗毒素を初期に与えれば有効 | 最も強い毒力 |
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