本文
第一章
我が武は天地の初に在って一気天地を両(わか)つ。雛の卵を割るが如し。故に我が道は、万物の根元・百家の権与なり。
第二章
此は一たり、彼は二たり。何を以て輪と翼とに諭えたるか。奈何となれば、蔕を固うして華を載す。信(まこと)なる哉。天祖先づ瓊鋒を以て[石殷]馭を造る。
第三章
心に因り気に因るは未し。心に因らず気に因らざるは未し。知って知有らず、慮って慮有らず、窃に識って骨を化し、骨を化して識るなり。
第四章
金の金たるを知り、土の土たるを知らば、金は金たりと為し、土は土たりと為す。爰に知れり、天地の道、純一を宝となすを。
第五章
天、剛毅を以て傾かず、地、剛毅を以て堕ちず。神、剛毅を以て滅びず。僊、剛毅を以て死せず。
第六章
胎に在っては骨先づ成り、死に在っては骨先づ残る。天翁と地老と、強を以て根と為す。故に李真人曰く、「其骨を実にす」と。
第七章
風の黄を払ひ、霜の蒼を萎(しぼ)ます有り。日、南にして暖なし。仰いで造化を観れば、断有り。吾が武の中に在るを知る。
第八章
漢文、詭譎(きけつ)あり、倭教、真鋭を説く。詭ならんや、詭ならんや。鋭ならんや、鋭ならんや。狐を以て狗を捕へんか、狗を以て狐を捕へんか。
第九章
兵の道は能く戦ふのみ。
第十章
先づ仁を学ばんか。先づ智を学ばんか。先づ勇を学ばんか。壮年にして道を問ふ者は、南北を失せり。先づ水を呑まんか。先づ食を求めんか。先づ枕を取らんか。百里にして疲るる者は彼是(ひし)を奈(いかん)せん。
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